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漫画家まどの一哉ブログ

   
カテゴリー「日記」の記事一覧
つげ忠男「曼陀羅華奇譚」の後編が60ページの大作であった。体力の衰えなどまるで感じさせない筆力です。そうか、忠男さんは最初の構成をせずに、いきなり一コマ目から描き始めるのか。それで出来上がるのは、人物に語らせる事がいっぱいあるからかな?この作品は語らせる事が多いせいか、大きいコマが少ないな。
うらたさんの「ホットケーキ」が、かわいらしくて楽しかった。これなら他誌(一般商業誌)でも充分読者に喜んでもらえるはずだが、「幻燈」を読んでいる編集者なんていないからな。
同じように角南さんの「水辺の憂鬱」も、まったく前衛的でなく短編ドラマとして良く出来た素直に読めるもの。コマ数をたっぷり余裕を持って使っているので、すらすらと頭に入ってくる。この作品も内容的には他誌でも充分楽しんでもらえると思うが、表現の質が違うんだろうなあ。
その他はまったく「幻燈」ならではのもの。特におんち作品のぶっとび具合が気持ちいい。しかもちゃんと計算されている。山田さんは少女を描かないほうが、自分は好きだ。1コマ目のベッドに寝ている絵が、グッグッグッとくる。
菅野さんの作品で冒頭、腰を痛める漫画家の姿。座敷じゃだめだよ、イスにしなきゃ。

http://a.sanpal.co.jp/hokutoh/information/

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そろそろ次の短編の構想を練ろうとは計画するも、今日はまったく空想の羽が広がらなかった。得意先に行ったりして、終わりなき日常に追われていた。日常というものはさすがに変化に乏しいものだ。平凡な幸せがあるのは分かるが、その平凡な喜怒哀楽から一歩引いている自分がいる。人間はただの存在ではなく、自意識を持った存在だが、全宇宙から見れば、結局それがどうしたという気はする。

ところで漫画ネタの空想だが、昨日など久しぶりに子供の頃の自由な空想感覚を思い出した。これは楽しいもんだが、親に保護されている状態なので、確実に甘えが入っている。したがってこの感覚は楽しいようで、実は不毛なのである。
自分はオタクというものは、この子供時代の温室的空想の心地よさから痛手をあまり受けていない、挫折していない人達だと思っている。なんとも不思議なものだ。

つまり漫画の楽しさというものは、苦いけど旨いといったようなもので、甘さも楽しさだけど、そこは誰しも多少なり屈折しているものを味わいたいところじゃないか?と自身のポジションを確認。

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特集は幻堂出版、自分は大阪生活が長いわりに、漫画活動を休止していたので、幻堂とは無縁であった。

安部慎一 作・斎藤種魚 画「月と鉄柵」を読むと、あらためてアベシンの世界にしみじみとなる。アベシンは短編は風味であるとかつて言っていたが、それが出来るのはすごいことだ。実際風味では済まない濃い内容なのに。斎藤種魚のやわらかいユーモアのある線で描かれているのがいい味。

甲野酉「未踏」は3回目。まさに絵が定着した。描き込みすぎず、省略をして、情感を出す。とても読みやすくて不足を感じない。上手い。

オカダシゲヒロ「自分崩壊」この初期作品のあと、現在のギャグのほうに進んで良かった。いや、これもギャグなのかな?

黒川じょん「逃げる男」骨格は見えていても、見せながら読ませる手もある。これはうまくいった。

鳥子悟「サマー・サスピション」落語を聞いているような話術。鳥子さんはアイデア自体もさることながら、こういう能力が高い。

三本さんの「夜のホッケー」いよいよ最終決戦。
キクチさんの「新しい調和」まさにタイトルどおり。

話7割、絵3割の悲しい結果で描き飛ばしている「西遊」ですが、だんだんと核心に近づいていくと、思います。でも近づくのは次号からです。

タコシェ、模索舍、
もしくは直販
nisinosorao@yahoo.co.jp

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最近どうも午前中気持ちが塞ぎがちだと思ったら、寝ている間に感情の処理ができてないせいだ。という説もあるようだ。つまりどういうことか、よく分からないが、我が脳においては、楽しい夢でも見てうまく処理してほしいものです。
自分は感情的な人格ではないが、感情はいくら理屈で納得させても押さえ込めないことくらい分かる。感情は解放してやらねば解決しない。

これが50代の人間の危機だと思う。今NHKではミドルエイジ・クライシスと題して30代の危機を特集番組としてやっているが、もう今やどの世代も危機だ。30代が就職できない危機ならば、50代は失職の危機、そしてローン破綻、別居、離婚、うつ(躁鬱)、癌、介護、これら難題のいくつかを抱えて、まさに私も彷徨っているところ、はたして幸せな感情を抱いて毎日をおくれるか、リハーサルなしの毎日です。
で、これらは社会のせいでもあり、自分のせいでもあるわけですね。

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「アックス77」の「信じられた遊び」は、前号に続いて宗教団体が舞台ですが、「QJ」に描いていたころからよく使う設定だ。もし自分が宗教について深く考えていれば、もっと掘り下げた世界を展開するところだが、自分の人生の上で宗教には何の興味も無い。社会現象としてみているだけ。
そういう外から眺めている範囲での、実社会のリアリズムはぜひ描きたいところです。そういう点でこの作品は、いつもの奇想シュール系ではないですが、自分では気に入っております。

ところで自分は青春や人生といったテーマで語るタイプではないが、大きなものでも小さなものでも、社会共同体といったものには興味がある。サークル的小集団から果ては国家までである。しかもその社会共同体はしばしばある種の錯覚によってまとまっているところがおもしろい。
例えば日本民族は優秀な美しい民族であるとか、虐げられた労働者が団結すれば善を為す。などである。
これらの理念型錯覚は言い方をかえれば、お人好しというところが愉快だ。つまり人間性に対する一面的信頼と権力というものに対するぼんやりした甘い期待である。

人間とは欲望に忠実な存在で、どうせろくなことはしない。そしてあらゆる国家は少数の凡人による、多数の凡人への支配で出来上がっているので、たいして違っちゃいない。というのが自分の基本的な認識です。悪への理念というものはめったになく、世の社会的理念はしばしば正義を旨としておりますが、ここに小さな大失敗の原因があり、ああ漫画になるなと思うのであります。

しかしふだん描いているものは、ぜんぜん違うのです。

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懸案の池袋で買い物。
妻の具合は悪くはないのだが、外出すると緊張で笑顔が無いのがかわいそうだ。
普段混んでいる道路がすいていると、交差点での右左折や高速道での分岐を、うっかりやりすごしそうになる。
池袋のジュンク堂書店は、我々はかつてヘビーユーザーだった。妻は香山哲の漫画がいっぱい載っているギターのムック本を買った。自分は三島由紀夫の文庫本と、古泉さんの「ピンクニップル」を買った。
全国規模で縮小傾向にあるHMVだが、池袋東武のクラシックハウスは健在だった。しかし今日はジャズでBAD PLUSとJEREMY PELTを買った。
池袋西武の屋上も遊具がなくなって、閑散と寂しいかぎりである。小さい子の思い出はどうなるのだ。
帰ると「アックス」が届いていたが、この郵便物は取扱中に毀損したむね断り書きがあった。しかし開封するとなんの問題も無かった。
朝2ページ、帰宅後1ページ漫画を描いた。

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巻頭三好吾一作品「城山」。なにげない日常を丁寧に描くという作品は、ときどき世の中にあるが、難しいものだ。事件らしいことは何も起こらないから、読ませる技術がなければとうぜん退屈なものになる。その読ませるテクニックをこの作家はもっていて、その秘密は情景描写にあり、無言ではあるが語りかけてくるコマの連続である。遠景と近景のリズムがあって、セリフやナレーションが無いのが心地よく読めた。

情景描写は、写真の中間色を忠実に斜線に置き換えている。むかし漫画があまり資料写真に頼らずに描かれていた頃、木は木、石は石、雲は雲の意味を持った記号で構成されていた。よくみれば、近世日本画の世界などもこの記号的方法で描かれていて、自分などもこの延長で苦心している。
そんな自分から見れば、三好作品の描線は非常に魅力的な世界である。

で、話は主人公が実家で一日を過ごすというだけのものであるが、クライマックスは城山から街を遠望するところであろう。それがどうしたと言われればそれだけのことだ。母親との会話も含めて、さらに迫真的なところを読みたい。日常も分野は違うが庄野潤三レベルまで描き込んでいけば、のっぴきならないものになる。日常とは実はこういうものだという漫画でしか味わえないものを読みたい。

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mixi日記より転載

特集「比嘉慂」
不勉強ゆえこの漫画家を知らなかった。
ヘタウマでもなくウマウマでもなく、あるとすれば素朴派とでもいうべき作風である。
もちろん内容が素朴という意味ではなく、絵が素朴。それだけに作品全体にまっすぐなものを感じてしまう。まっすぐというのは褒め言葉であるとは限らないが、この人の場合イヤミなしで使える。
沖縄という土地は、何を描いても否が応でもいろんな問題が透けて見えてしまうが、ヘタすると学習漫画のようなものに寄ってしまいそうで、それだけに扱いがたいへんだ。さすがにしっかりこなしていて、面白く読めた。
戦争・沖縄・ヒロシマナガサキなどをテーマにした小説は、けっこう好きで読んできたが、たんなる社会問題を提議するだけのものならば、捨てて来た。比嘉さんも「問題提議で終わるものは違う」と言っているが、そのとおり。魂に触れてもらわないといけない。
手塚・水木・つげ義春を基本とするのは、自分と同じです。

藤宮さんが作品化している近代文学は、自分も多く接してきたので気持ちよく読める。昔の文庫本のインクの臭いを思い出すような漫画。ぜひこのシリーズだけでネコなしで一冊にまとめてもらいたい。

「筋子」がついに本来のダークサイドにやってきた。漫画評論家の皆さんはぜひ「筋子」に挑戦して、漫画家をうひゃっ!と言わせてほしい。

巻頭特集が終わると、わたしの「光の使い手」(16p)です。お楽しみください。

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漫画を描いていて線を引く時に、その線のことをどれくらい意識するかな?
できるだけいい線が引きたいけど、いい線とはキレイな線であったり、勢いのある線であったり、詩情あふれる線であったりする。
自身の感情のあふれるままに、意識しないでペンを走らせれば、読者の心をうつ線が生まれるだろう。むかし鈴木翁二や安部慎一の描線が、かなり乱暴で未整理だった頃がある。オージさんは溢れる自分の感情を、手の速度に合わせて整理するのがまどろっこしくて、たかぶる気持ちをそのまますぐ描きたかった。てなことを言っていた。
ここには真実がある。初期衝動や立ち上がる自分の気持ちをいちばん大切する描き方。できるだけ意識を介在させずに、なまの感情をぶつけていく。それが読者の感動をよぶのだ。

翻って自分は最後まで意識的にコントロールしたいほうだ。線自体を意識するのは、ほんとうはヘンなスタンスで、できるだけ感情を活かしながらていねいに描けばそれでいい。とはいえ、手は脳より遅いので、今引いているこの線がどれくらい上手く引けつつあるか考えてしまう。このとき肝心の詩情が押さえ込まれてしまう危険性がある。
とは言え、近代日本画の伊東深水や安田靫彦などのカッチリとした描線が憧れだから仕方がない。それでいて辰巳さんのようなうらぶれた都会が描きたい。力不足すぎる。

*「Quick Japan」Vol.91で、足立守正さんが「洞窟ゲーム」を紹介してくれました。

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「架空」や連続テレビ小説と、このところ「ガロ」の時代を振り返る企画が多い。
時間がたってみれば、いろんなことが思い出になる。漫画史を精密にすると言う意味で、まだまだ調べることもあるらしい。やはり長井さんや高野さんがいて、水木さんが描いていた頃までが安全圏である。時代が近づくにつれ、思い出では済まない。

「ゲゲゲの女房」を見ている限りでは近年の事情は分からない。実は自分も長年離れていたので、詳しい事情はわからないが、長井さんが立ち上げた「自由の砦」は、滅びることなく、儲かることなく、現在の「アックス」に引き継がれている。
ところが残念なことに、一般には青林堂と青林工藝舎の違いが認知されていないので、知らない人はテレビを見て現在の青林堂のほうに問い合わせるようだ。しかも「ガロ」の商標は青林堂のものなので、今後も自信をもって利用されるだろう。

それだけ「ガロ」と青林堂の名前が人々に記憶されているということだが、創立10年を越えた青林工藝舎は連続して手塚治虫文化賞を受賞する快挙をなしとげている。これはどう考えても「ガロ」以来の文化的な蓄積、多くの作家と編集者の活動がひとつひとつ実を結んでいるわけで、もうすぐ世間の認知は「ガロ」の終了と「アックス」の歴史を確認するであろう。
現在「月刊架空」で展開されている「ガロ」史検証が、その一助となることを願う。
はたしてそんなうまい具合にいくのかな…?

ところで始めて「ガロ」を買って読んだのは、「美代子阿佐ヶ谷気分」が掲載されている号だった。中学生だったが勝又進の「かんたろ月」、つげ忠男の「うらにしの里」にしびれた。
「ゲゲゲの女房」は舞台が昭和47年に突入している。昭和47年といえば、既に頭のイカレタ自分の人生は破綻している。笑い事やない、早過ぎるやろ。この後かろうじて高校を卒業して、進学とか就職とかせず、人生というものを全く前に進めないまま、長井さんや南さんや赤瀬川先生やオージやアベシンに会うことになるが、精神が正常でないので出会っただけの意味があったとは思えない。これが自分にとっての個人的「ガロ」の時代だ。思い出話は後日に譲るとして、要するに人生にレールはなく、落ちこぼれてもなんとかなるという、青少年のためのハナシ。

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