漫画家まどの一哉ブログ
「現代霊性論」 内田樹・釈徹宗
「現代霊性論」
内田樹・釈徹宗
(講談社文庫)
宗教のそもそもの母体となるスピリチュアルな存在、霊性の意義について行われた対談形式の講義録。
内田樹氏がインスピレーションのままにどんどん話を繰り広げて行くが、女性参画社会や靖国神社の問題についてはややズレている気がした。方や釈徹宗氏は現役の僧侶でありながら教授でもあるので、専門的な蘊蓄と落ち着いた語り口で、講義全体が内容あるものになっていた。
霊性というものがやはり共同体の成員全体に関わるもので、現代社会では人間があまりに個別な存在になり、その結果スピリチュアルなものを求めているというのは思い当たる。また、共同体が育んでいた儀礼的な宗教行事の大切さは、自分も(見てるだけなら)好きなので納得がいった。
教義の意味よりは儀礼などのカタチを繋いでいくことで、人間は共同体の成因として安心が得られると思う。これはユングいうところの集合無意識と繋がる話かもしれない。自分は宗教はおおいに世俗化するべきだと考えているので、誰も儲からないうっすらしたものであってほしい。
PR