漫画家まどの一哉ブログ
「大いなる遺産」上 ディケンズ
「大いなる遺産」上
ディケンズ 作
(河出文庫・佐々木徹 訳)
鍛冶屋で暮らす少年ピップ。逃亡中の囚人に脅される秘密の事件から始まり、隠棲する富豪夫人の相手をした結果莫大な遺産を相続。一大ドラマの前半。
読めば面白いことはわかっていながら、なんとなく後回しにしてきたディケンズの長編。ただならぬ設定と事件で初めからめっぽう面白い。とくに時間の止まった埃まみれの屋敷でひっそりと暮らす老女とその養女である高慢な美少女。この異常な空間と人々はなんだろうか。
この老女がピップ少年をジェントルマンへと引き上げ、舞台はロンドンへ。さらに一癖も二癖もある人物が登場するが、多くは凡庸で浅はかで意気地ない悲しき人間たちだ。これでなくては物語は面白くならない。そして不気味なのは相変わらず脱走した囚人の影がまとい着くところ。後編へ。
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