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漫画家まどの一哉ブログ

   
「ガロ」の時代
「架空」や連続テレビ小説と、このところ「ガロ」の時代を振り返る企画が多い。
時間がたってみれば、いろんなことが思い出になる。漫画史を精密にすると言う意味で、まだまだ調べることもあるらしい。やはり長井さんや高野さんがいて、水木さんが描いていた頃までが安全圏である。時代が近づくにつれ、思い出では済まない。

「ゲゲゲの女房」を見ている限りでは近年の事情は分からない。実は自分も長年離れていたので、詳しい事情はわからないが、長井さんが立ち上げた「自由の砦」は、滅びることなく、儲かることなく、現在の「アックス」に引き継がれている。
ところが残念なことに、一般には青林堂と青林工藝舎の違いが認知されていないので、知らない人はテレビを見て現在の青林堂のほうに問い合わせるようだ。しかも「ガロ」の商標は青林堂のものなので、今後も自信をもって利用されるだろう。

それだけ「ガロ」と青林堂の名前が人々に記憶されているということだが、創立10年を越えた青林工藝舎は連続して手塚治虫文化賞を受賞する快挙をなしとげている。これはどう考えても「ガロ」以来の文化的な蓄積、多くの作家と編集者の活動がひとつひとつ実を結んでいるわけで、もうすぐ世間の認知は「ガロ」の終了と「アックス」の歴史を確認するであろう。
現在「月刊架空」で展開されている「ガロ」史検証が、その一助となることを願う。
はたしてそんなうまい具合にいくのかな…?

ところで始めて「ガロ」を買って読んだのは、「美代子阿佐ヶ谷気分」が掲載されている号だった。中学生だったが勝又進の「かんたろ月」、つげ忠男の「うらにしの里」にしびれた。
「ゲゲゲの女房」は舞台が昭和47年に突入している。昭和47年といえば、既に頭のイカレタ自分の人生は破綻している。笑い事やない、早過ぎるやろ。この後かろうじて高校を卒業して、進学とか就職とかせず、人生というものを全く前に進めないまま、長井さんや南さんや赤瀬川先生やオージやアベシンに会うことになるが、精神が正常でないので出会っただけの意味があったとは思えない。これが自分にとっての個人的「ガロ」の時代だ。思い出話は後日に譲るとして、要するに人生にレールはなく、落ちこぼれてもなんとかなるという、青少年のためのハナシ。

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