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漫画家まどの一哉ブログ

   
カテゴリー「日記」の記事一覧

同じ紙に東京オリンピックの漫画が描かれてあるから、
おそらく自分が6~7歳の頃に書いたものでしょう。
おもしろいからアップしてみました。シリカゲル…(笑)



冒険小説

「赤く光る不思議な少年」


:10月2日酒井という新聞記者が、日本の離れ小島へ行ったとき、赤く光る不思議な島を見つけた。酒井はすぐその島へ行ってみた。木も草も赤く光っている。

:酒井がその草にさわると、酒井の身体が小さくなり、声の出ない真っ赤な少年になってしまったのだ。その三日前に、赤いダイヤモンドがその島に流されたという。しばらくすれば隊員がダイヤモンドを探しにくるだろう。さて酒井はどうするか。

:二・三日経つと隊員がやってきた。そしてダイヤモンドにシリカゲルをふった。すると酒井の身体が普通に戻った。でもまだ三・四人赤い少年が立っている。いったいどうしたのだろう。


なぜ赤い少年ができたのだろう。

なぜダイヤモンドにシリカゲルをふると、治ったのだろう。

……………。

つづく


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アベシンとは伝説の漫画家安部慎一であるが、新刊「世の終りのためのお伽噺」贈呈への礼状FAXが編集部へ届いた。これが相変わらずのくずし変体仮名の達筆でさらりとは読めない。時間をかけてなんとか読み解いたものが以下。



「手塚様 まどの様


先程はTELで失礼しました。

まどのさんの作品が後世に残る為には

まず、背景や人物に対する
愛情が必要だと思います。
しかし、そのまま進めば、一流の
漫画家には成れます。
モデルに対する美意識、

又、背景に対する感動、

それらが、芸術を成す

基本だと私は信じています。

次の単行本を今やロートルの

私の年に影響を受けず

頑張って下さい。

ありがとうございます。」


というわけで、アベシンの文章はしばしば理念的・観念的でたいして面白くないのだが、これは氏が宗教に凝る気質であることと同じ面の現れのような気がする。2010年の「月刊架空7月号:安部慎一特集」のインタビューでは、しごくまっとうなことを喋っているのに、文章を起こすとなると構えてしまうのかもしれない。


ところで先日のオージといいアベシンといい「ガロ」が生んだ天才漫画家で、作品は必ず後世に残ることは自分は若いころから信じてたが、この2013年においてどれだけ多くの読者に共有されているかというと、まったく情けない状況だ。つげ義春以降の表現といっても、結局コップの中のさざ波で終わっているんじゃないか。知り合いばかり集まってる文芸運動みたいだ。やれやれ。


と愚痴ってみましたが、それはさておき「月刊架空7月号」のインタビューは、ファンおよび研究者必読の内容なので今からでも買って下さいね。楽しいよ。


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西荻窪「のみ亭」で行われた鈴木翁二ライブ「レモン殺人事件」に行ってきた。


翁二さんに会うのはひさしぶりだが、残された人生、会えるうちに会っておいたほうがよいと思ったのだ。梶井基次郎の世界を追いかけながら、自作の歌を歌うイベント。確かに梶井作品に対する氏独特の思いが語られたようだが半分聞いていなかった。翁二さんの唄はどれもみな寂しさの美意識に貫かれたもので、曲も歌声も漫画作品そのままの世界だ。歌も漫画もイラストも全て鈴木翁二の個性で通底されているのだった。まあどれも同じような曲だが、曲が変わらないのはギターが変わらないからということだった。


今回の翁二さんの上京は亡くなった漫画家の白山宣之を追悼する為と、限定本「うみのきらきら」の完成原稿を手渡す為だった。氏は白山さん周辺の方々と歓談していた。自分は今回は挨拶くらいにして引き上げました。果たして「うみのきらきら」完成原稿の行方はいかに?ほんとに完成するのか?


これぞ世界に出して恥ずかしくない日本の漫画でありながら、まるで日本人共有の財産となっていない鈴木翁二作品。いまや若い読者が目にする機会も少なく、このまま忘れられていくのでありましょうか???


 


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古いアルバムを実家から救出。


おそらく1950年前後のどこかの風景


おそらく1950年前後のどこかの動物たち


これも1950年前後の街角。写っているのは結婚前の若き父親。まだ生きている。


昭和史には「森永ヒ素ミルク事件」というものがあったのだ。
そんな事件の終わった後なので、かえって安全だろうという判断のもと、
森永ドライミルクで育ったワタクシ。


1959年ごろの父親の実家台所。お釜が時代を感じさせる。
懸命にものを運ぶワタクシ。


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京都出町柳のトランスポップギャラリーで開催されている

うらたじゅん個展「駅で待っている」を観てきた。

 

ローカル線やSLがハガキ大の画面に丁寧に描かれた作品たち。

描線もセピアカラーなら塗り色もセピア中心で、ところどころに青や赤が配色されているという落ち着いたカンジ。関西中心だがいろいろな小さな電車が登場していて雰囲気がある。郷愁を誘うのだがそれを狙っているのではない。だが、どこかしら物悲しげな趣があって、自分は大好きな世界であります。

 

電車と言えば自分の好きなポール・デルボー(ヘタクソ)。もちろんあのようなシュールで静謐な世界ではない。うらた作品もよく大っきな虫とか周りに飛んでいてシュール的な感覚もあるが、今回はそういった小道具はあまり無しの電車主体の内容で、充分見応えがあった。

やはりうらたさんは漫画家なので、どの作品も絵の背景にストーリーがありそうだった。面ではなく線を主として構成されているのも、いつもの漫画作品を彷彿とさせる。

 

初めて行ったトランスポップギャラリーで、うらたさんと店主の方を交えて、伝え聞くマイナー漫画界の噂話および表現論を語り合いました。楽しいひとときでした。

 

http://www.trancepop.jp/

http://junmilky.exblog.jp/

 

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おんちみどり特集。現在自分が最も面白いと思っている漫画家のひとり。こんな愉快な絵でシュールなハナシが成立することじたいが愉快だ。よく純粋階段のようなものが画面に溢れていて、明らかに不思議な空間なのだが不安な感じがしない。時間の進み方もゆっくりしていて呑気なムードがたのしい。実は4コマ漫画が秀逸。

つげ義春の小特集のなかで、西野空男が「ねじ式」のパロディを描いているが面白い。「ねじ式」はだれでも一度は描いてみたい要素に満ちあふれている。それは「ねじ式」はシュールと言っても作者の生々しい感性が表面的には押さえられていて、旅漫画と同じ描き方で描かれているためだと思う。手ざわりとしては写真を懸命に模写すれば描けそうな作風である。言い換えれば細密な描写あってこそ成り立っている漫画であるとも言えるので、パロディひとつ描くにしても労力はたいへんだろう。

商品として考えなくても、漫画作品としての完成形というのはおそらくあって、それは読者に対する義理や礼儀のようなものだと思うが、「架空」はそのへんから自由な雑誌である。三本、鳥子、キクチ氏などベテラン作家はいつものペースであるが、若手は良い意味でも悪い意味でもそんな自由さを発揮しているようだ。

購入はnisinosorao@yahoo.co.jp まで

 

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本秀康特集。本さんは優れた短編作家で、悲しくも愉しくも極めてアットハートな作風だ。そんな本さんの代表作は長編「ワイルドマウンテン」だが、この長編をものにしても読者からの反応は薄く、漫画というよりはイラストの連続のように観られているのだろうか。読者一般に漫画としてイメージされているものはかなり限定されているようだ。

新たに始まったベンチウォーマーズの連載の中で南伸坊氏が斎藤裕之介氏にアドバイスしているのだが、やはり漫画ばかり見ていちゃだめだ。これは絵に関する問題で、もっと絵画作品など観て模写してみよとの仰せなのだが、自分などはストーリーに関しても映画・小説・落語などなんでもいいから惚れ込んでる必要があると思う。だいたい漫画だけたくさん見て、漫画史上どれが名作かなんて視点は狭いもんで、やはり先行する他分野をよく知っていての評価基準を持っているべきではなかろか。

自分は「灰」という昔話の「花咲か爺さん」を元ネタにした漫画を描いているが、読み返してみると展開が解りにくかったか?とかセリフが単純すぎたか?とか反省することしきりである。ラストは灰が飛び散って、多くの樹々は枯れてしまったのに、ある花だけは満開になっているという皮肉な結果を描いているが、コマ進行が失敗していて通じなかったかもしれない。とも思うし、いやいやこれでちゃんと出来ていると満足していたりもする。 現代日本の蒲松齢こと鳥子さんは相変わらず絶好調だ。菅野さんも自分で絶好調といっているとおり!こんな素敵な「アックス87号」はアックスストアでお買い求め下さい。

https://ax.ofthemall.com/

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中野タコシェで西野空男氏たちと合流してみると、なんと「架空」最新号にとある問題箇所が発生しており、詫び状を挟み込んで記事文にシールを貼るという作業を手伝ったのだった。そんなこともあり、なんとなく落ち着かないカンジで渋谷へ移動し、「万力のある家」で開催されている「つげ義春ミニ原画展」イベント:小林坩堝×高野慎三対談へ遅れて参加した。

 

気鋭の若手詩人である小林坩堝が、つげの名作「海辺の叙景」を題材に、吉行淳之介の小説作品との共通点をさぐるといった内容。「海辺の叙景」はつげ作品の中でも第一に人気のある作品だが、実は自分は一番苦手な作品である。また吉行淳之介の小説世界もけっして馴染めるものではない。

 

坩堝さんはつげの表現が風景を大きく描き、人物は点景であること。風景の中に人物が埋没する描き方で、より男女の情交を表現していることなどが、吉行の小説作品にもみられるところなどを発見した。ここらあたりが坩堝さんの好みなのであろう。こういったところが「海辺の叙景」が多くのファンを集める理由なのか高野さんに問いただすと、それは違っていて単に恋愛漫画だからだということだった。

 

つげ義春のカラーイラストや漫画のエスキースが展示されていたが、「架空」の件で、自分までなにやら慌てた気分で見ていた。(25日は休み、29日まで。http://manriki.sanpal.co.jp/)

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「アックス86号」

自分はいつも菅野さんの「筋子」シリーズを最初に読むのだが、いつもにもましてすごい絵だ。なんでこんな絵で漫画が描けるのか?菅野さんがゲロ吐いた渋谷駅がぶっ壊れとるやないの。一貫して死と破滅のニオイが漂うこの世界は作者の年齢あってこそ描けるものと自分は思う。

 

新人賞の佳作「ユングフラウヨッホ」は絵も話もとってもいいですね。いや、漫画にとって絵と話はやはり一体となっているものですね。

奨励賞の「暖かい日陰に」も面白く読みましたが、絵がジミなのはいいとしても今後絵の魅力が増す事を期待します。ガロ派の表現はおとなしいが、やはり見せコマは存在するものですから。

 

新人作品のあとに本さんや河井さんの作品を読むとやはり作りにムダがないのを感じた。『モリミテ」が新展開だった。「茶番なカッパ」たちはなんとも可愛らしい。

 

 

「マガジンNo.1」

ほとんど炭子部山さんの漫画で埋められているが、自分はこの人のファンなのでどれを読んでもおもしろい。絵がやや乱暴だからメジャーには向かないのかもしれないが、画質に味わいがあって、ネタも愉快愉快。

 

久しぶりに斎藤種魚さんの漫画を読んで満足。これはずいぶん前に描かれたもののはずだが、コシヒカリものはやっぱり面白い。甲野酉さんの作品もずいぶん前に描かれたものだとおもうが、おなじみの男と女の世界だ。半私漫画だ。甲野酉さんは別冊の「イオリの場合」という中編もあって、現実に対して容赦のない世界がある。

香山哲も相変わらずツメコミすぎだが、ネタはおもしろい。

そんな友人以外の作品でも独自の絵を持つ作家ばかりで、おおいに気に入りました。

 

「うさぎのヨシオ」

この近藤聡乃さんの4コマ漫画が面白くて、毎日ちょっとづつ楽しんでおります。

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巻頭では「コミックビーム」編集長の奥村勝彦氏へのインタビューがあって、「アックス」編集部と認識をおおいに共有しているが、個人的には疑問もある。それは「ビーム」は作家に原稿料が出て商業的に成立しているが「アックス」はそうではないというところである。面白いと思う作品が両者で違っているという理由による。
「アックス」作品の中にもこれなら「ビーム」に載っていてもいいんじゃないかと思うものがあるのかもしれないが、たぶんそれは甘い片思いであって、悲しいかな商業誌の編集部のアンテナからは落ちるのである。たぶん漫画を成立させている約束・読者にとっての約束が違うのだ。この約束事は世界観から技術的なコマ展開まで含む。

たとえば三本さんの「まっとうな男」などたいへん面白い小品だが、「ビーム」読者が理解している漫画の約束はなにもないとおもう。簡単に言えば一般的には漫画はわかりやすいカタルシスを期待されているもので、菅野作品・三本作品はもとより古泉作品にもそんなものはない。

したがって編集者が後ろでしっかり支えているから安心して突撃してくれといっても、作家の収入を保証する範囲での表現であり、表現は保証するが収入は保証できないのとでは、まるで違う。それでなければ菅野さんはもっと儲かっているハズ?

ところで鳥子さんと具井さんは内容はまるで違うが、風味が私好みです。風味ってなんでしょうかね。そんな私の「狙われた三人」元ネタは「三匹の子ブタ」であります。まだまだ続くお伽噺シリーズ。ぜひお楽しみください。

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