漫画家まどの一哉ブログ
「宝石/遺産」モーパッサン傑作選
読書
「宝石/遺産」モーパッサン傑作選
モーパッサンの短編はずいぶん読んでいるはずだが、やはり面白い(ほんとうは実体験に基づいた怪談がいちばん面白い)。この短編集でも自意識過剰のインテリや作者の日常を反映した人物などは登場せず、もっぱら感情本意で行動する等身大の一般大衆が主人公で、しかも金に絡んだ話だからウケないはずはない。欲望や見栄や嫉妬など、わかりやすい原理で行動するから目が離せなくなる。
どの作品もアイディアが豊富で小話としてオチをつけることもできそうだが、そうしないところが読後感のよさになっているのだろう。「遺産」と「パラン氏」の中編2編がよかった。
「遺産」:莫大な遺産を目当てに結婚したが、フタをあけてみると相続は生まれてくる子どもへとなっていて、これがなかなか生まれない。この設定でもうロクなことにならなさそう。
「パラン氏」:金はあるが度胸のない男。子供を溺愛していたが、実は妻に裏切られ子どもも実の子ではなかった。離婚後の長い人生がただただ孤独になすすべもなくビヤホールで終日過ごすだけだけというのが痛ましいが真実味がある。
「宝石/遺産」モーパッサン傑作選
モーパッサンの短編はずいぶん読んでいるはずだが、やはり面白い(ほんとうは実体験に基づいた怪談がいちばん面白い)。この短編集でも自意識過剰のインテリや作者の日常を反映した人物などは登場せず、もっぱら感情本意で行動する等身大の一般大衆が主人公で、しかも金に絡んだ話だからウケないはずはない。欲望や見栄や嫉妬など、わかりやすい原理で行動するから目が離せなくなる。
どの作品もアイディアが豊富で小話としてオチをつけることもできそうだが、そうしないところが読後感のよさになっているのだろう。「遺産」と「パラン氏」の中編2編がよかった。
「遺産」:莫大な遺産を目当てに結婚したが、フタをあけてみると相続は生まれてくる子どもへとなっていて、これがなかなか生まれない。この設定でもうロクなことにならなさそう。
「パラン氏」:金はあるが度胸のない男。子供を溺愛していたが、実は妻に裏切られ子どもも実の子ではなかった。離婚後の長い人生がただただ孤独になすすべもなくビヤホールで終日過ごすだけだけというのが痛ましいが真実味がある。
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