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漫画家まどの一哉ブログ

   
2011年の明暗、反省と自戒と希望その他
東日本大震災以降しばらく、直接天災自体を恐れているわけではないが不安が増した。
もとより妻は更年期の双極性障害で離れて療養中であるが、その妻との連絡がうまくいかないだけで、おろおろする有様となり、やがて自分の依存性人格障害に思い至ったわけである。
また一人暮らしは多分に自己満足を含むことにも気付いた。どこでなにを買うとか、なにを食うとか、まことに些事だ。

思えば震災前のセミ書房で西野氏や斎藤氏と「架空」の編集を語っていた頃が懐かしい。同人活動特有のあの優雅な貧しさは、他に替えられない楽しさだった。残念ながら被災した斎藤氏の復活はもうしばらく待たなければならない。

そんななかでも「アックス」の掲載は途切れることなく続けて、短編もそこそこたまった。今はお伽噺を題材にした連作を行っているが、これをまとめて一冊とするか、あるいはお伽噺以外でまた作品集を出すか、編集長の手塚さんと合意しているわけでもなく、とりあえず描き続けているのだ。しかも相変わらず一作仕上げるごとに頭の中はカラッポで、毎回使い切った歯みがきのチューブからさらにしぼりだすように考えている。それでも現代物の長編を連載する夢はあきらめていなくて、これこそ漫画の神様が降りてきてくれるのを祈るばかりである。

50代が年齢的に危機的であるのは以前から言っていることだが、まさに増々混沌としてきた。世相を反映して収入はつらいものとなってきた。クライアントが予算を使わないためである。この歳で能力もないのに新たな得意先の開拓は不可能に近い。
さらに遠方で暮らす老親は心も体もいよいよ衰えが進み先が見えない。介護や入院の手配でなんども関西へ往復することとなろう。それを思えば40代までは平和なものだった。妻も健康であり自分も甘えていたと思う。

さてなんと言っても年末に、初の長編漫画「西遊」が発行できたことは他に代え難い喜びでアリマス。西野さんやワイズ出版の岡田さんに感謝したいです。この本は来年もぜひじりじりと売れていってほしい。と、切に願うものでアリマス。

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