漫画家まどの一哉ブログ
「天使の美酒/消えちゃった」 コッパード
読書
「天使の美酒/消えちゃった」コッパード 作
文庫本の売り文句は怪奇・綺想の幻想文学とされているが全くそんな感じは受けなかった。むしろ解説にもあるように詩情あふれる短編で、組み立ても自由でなりゆきのまま。ほのかに漂う無常感がいい味を出している。
「マーティンじいさん」:最後に墓地に埋められた者が先輩亡者のいいなりにならなければならない。そんな言い伝えを信じるマーティンじいさん。死んだ我が娘がその墓地で最後の死者で、今後死んだ者は新しい別の墓地に葬られることになってしまった。永遠に下僕とされる亡き娘の身を案じるじいさんはだんだんおかしくなっていく。
「天国の鐘を鳴らせ」:農家の生まれながら少年の頃より演劇に異常な興味を抱く主人公。本ばかり読んで育ち、家を出て役者の道を歩み始めるも、不慮の事故で足が不自由になり演説家に転向。宗教アジテーターとして弁舌をふるい人々をひきつけてゆく。やがてそれも虚しく流浪の身となり、死んでいった恋人を想う毎日だった。
どの短編も極端な破滅に向かうわけではなく、さりとてハッピーエンドではない小さな不幸や寂しさが、読み終えて逆に落ち着く。
「天使の美酒/消えちゃった」コッパード 作
文庫本の売り文句は怪奇・綺想の幻想文学とされているが全くそんな感じは受けなかった。むしろ解説にもあるように詩情あふれる短編で、組み立ても自由でなりゆきのまま。ほのかに漂う無常感がいい味を出している。
「マーティンじいさん」:最後に墓地に埋められた者が先輩亡者のいいなりにならなければならない。そんな言い伝えを信じるマーティンじいさん。死んだ我が娘がその墓地で最後の死者で、今後死んだ者は新しい別の墓地に葬られることになってしまった。永遠に下僕とされる亡き娘の身を案じるじいさんはだんだんおかしくなっていく。
「天国の鐘を鳴らせ」:農家の生まれながら少年の頃より演劇に異常な興味を抱く主人公。本ばかり読んで育ち、家を出て役者の道を歩み始めるも、不慮の事故で足が不自由になり演説家に転向。宗教アジテーターとして弁舌をふるい人々をひきつけてゆく。やがてそれも虚しく流浪の身となり、死んでいった恋人を想う毎日だった。
どの短編も極端な破滅に向かうわけではなく、さりとてハッピーエンドではない小さな不幸や寂しさが、読み終えて逆に落ち着く。
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