読書「ボズのスケッチ」(上・下)ディケンズ 作
ディケンズが作家デビューに至ったごく初期の短編集。
ファルス及びコメディといった作品で、読んでいて迫るものはない。格好よくあろうとしてとんだ失敗に終わる上流階級未満の人々を戯画的に描いて、面白くなくはないが、ちょっと無害すぎるので実は全編は読まなかった。
それよりこの短編集発刊のために書き下ろされた、上下巻巻末の短編「黒いヴェールの婦人」「大酒飲みの死」がファルスでなく、死と破滅といった人間の闇の部分を描いた傑作で実にコクがある。読んでよかった。さすがにディケンズだ。
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