漫画家まどの一哉ブログ
「ピンフォールドの試練」 イーヴリン・ウォー
読書
「ピンフォールドの試練」
イーヴリン・ウォー 作
小説家ピンフォールドは転地療養のため海路セイロンへ旅立ったが、客船に乗り込むやいなや自身の船室から奇怪な会話が聞こえるのだった。それは自分への誹謗中傷でありさらには危害を加えようとするもの。これは部屋の配管からのノイズがそう聞こえるのか、あるいはどこかの放送が電波の漏れによって響いているのか。船室の中で自分に関する大騒ぎを聞いて、思い切って廊下へ出ると誰もいない静かな夜だったりする。だんだんエスカレートする悪人達との脳内会話は船を降りた後でも続くのだった。
おそらく薬の過剰摂取による幻聴であろうと思いながら読んでいても、脳内の悪人と戦うという異常でスリリングな展開なので引き込まれる。人間存在の深層をえぐったわけでも人生の悲哀を綴ったわけでもないのだが、かと言って簡単な娯楽としてできているわけではない。文章のうまさ、上品さによるものだと思うが訳文を読んでいるだけなのではっきり断定はできない。軽々とした名作文学といった感触のウォーの世界。
「ピンフォールドの試練」
イーヴリン・ウォー 作
小説家ピンフォールドは転地療養のため海路セイロンへ旅立ったが、客船に乗り込むやいなや自身の船室から奇怪な会話が聞こえるのだった。それは自分への誹謗中傷でありさらには危害を加えようとするもの。これは部屋の配管からのノイズがそう聞こえるのか、あるいはどこかの放送が電波の漏れによって響いているのか。船室の中で自分に関する大騒ぎを聞いて、思い切って廊下へ出ると誰もいない静かな夜だったりする。だんだんエスカレートする悪人達との脳内会話は船を降りた後でも続くのだった。
おそらく薬の過剰摂取による幻聴であろうと思いながら読んでいても、脳内の悪人と戦うという異常でスリリングな展開なので引き込まれる。人間存在の深層をえぐったわけでも人生の悲哀を綴ったわけでもないのだが、かと言って簡単な娯楽としてできているわけではない。文章のうまさ、上品さによるものだと思うが訳文を読んでいるだけなのではっきり断定はできない。軽々とした名作文学といった感触のウォーの世界。
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