漫画家まどの一哉ブログ
「城壁/星」 小島信夫
読書
「城壁/星」
小島信夫 作
小島信夫の戦争小説集。戦争体験を描くといってもいろいろな局面があるだろうが、小島信夫の場合なにかしら夢の中のような、切迫感のない不思議なものとなっている。敗色濃厚、もしくはすでに敗戦そして引き上げという時期のものが多いせいか、戦闘のリアリズムが過ぎ去った後の茫漠とした落ち着かない時間が流れている。
表題作「城塞」などは、あるはずの城塞が一夜のうちに忽然と姿を消しているという直球のシュールレアリズムであるが、そうでなくてもどことなく超現実的なあじわいがあって、整合性のない出来事がふとした拍子にまぎれこんでいて、素知らぬ顔をしているような作品がある。自分は「大地」にそれを感じた。この絶妙とも言える感触がどこまで意図されているのか掴めないところが小島信夫の魅力だ。
「城壁/星」
小島信夫 作
小島信夫の戦争小説集。戦争体験を描くといってもいろいろな局面があるだろうが、小島信夫の場合なにかしら夢の中のような、切迫感のない不思議なものとなっている。敗色濃厚、もしくはすでに敗戦そして引き上げという時期のものが多いせいか、戦闘のリアリズムが過ぎ去った後の茫漠とした落ち着かない時間が流れている。
表題作「城塞」などは、あるはずの城塞が一夜のうちに忽然と姿を消しているという直球のシュールレアリズムであるが、そうでなくてもどことなく超現実的なあじわいがあって、整合性のない出来事がふとした拍子にまぎれこんでいて、素知らぬ顔をしているような作品がある。自分は「大地」にそれを感じた。この絶妙とも言える感触がどこまで意図されているのか掴めないところが小島信夫の魅力だ。
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