漫画家まどの一哉ブログ
「ウイルスは生きている」 中屋敷 均 著
読書
「ウイルスは生きている」中屋敷 均 著
(講談社現代新書)
何をもって生命とするか。生物の世界を横断して生きて行く驚くべきウイルスの生態。彼らは物質ではない。
ときどきは一般向け分子生物学読本のたぐいも読んでいるが、結局あいまいな理解のまましだいに忘れてしまうことをくりかえす。この本もそんなボンヤリした状態で読了。
この地球上で大昔から活躍するウイルスの多様なふるまい。けっして悪役ではなく、彼らはすでに人間をはじめいろいろな生物の生存に必須のものとなっている例が紹介される。
寄生バチが送り込む弾丸として寄主となるイモムシの免疫反応を抑え、変態を阻止するポリドナウイルスの話は面白かった。また逆に宿主の免疫力をアップさせるヘルペスウイルスもある。生物がたまたま出会ったウイルスを有効活用して生きてきたという巧妙さ。
またウイルスは獲得した生物内で子々孫々受けつがれていくだけでなく、まったく別の生物へ「水平移行」して利用されていることも知った。自身では不要な光合成遺伝子を持って海中のシアノバクテリアに感染し、海中で宿主の光合成を助けるなど。すべてはウイルスの感染戦略だが、地球上で生物が進化発達していく上で不可欠だったようだ。
著者はそんなウイルスが単なる物質とされるのはおかしく、明らかに生物の仲間だとの立場をとる。巻末の生命とはなにかを考えるくだりで「生命の輪」の一員としてウイルスを考える大きな生命観に頷いた。
「ウイルスは生きている」中屋敷 均 著
(講談社現代新書)
何をもって生命とするか。生物の世界を横断して生きて行く驚くべきウイルスの生態。彼らは物質ではない。
ときどきは一般向け分子生物学読本のたぐいも読んでいるが、結局あいまいな理解のまましだいに忘れてしまうことをくりかえす。この本もそんなボンヤリした状態で読了。
この地球上で大昔から活躍するウイルスの多様なふるまい。けっして悪役ではなく、彼らはすでに人間をはじめいろいろな生物の生存に必須のものとなっている例が紹介される。
寄生バチが送り込む弾丸として寄主となるイモムシの免疫反応を抑え、変態を阻止するポリドナウイルスの話は面白かった。また逆に宿主の免疫力をアップさせるヘルペスウイルスもある。生物がたまたま出会ったウイルスを有効活用して生きてきたという巧妙さ。
またウイルスは獲得した生物内で子々孫々受けつがれていくだけでなく、まったく別の生物へ「水平移行」して利用されていることも知った。自身では不要な光合成遺伝子を持って海中のシアノバクテリアに感染し、海中で宿主の光合成を助けるなど。すべてはウイルスの感染戦略だが、地球上で生物が進化発達していく上で不可欠だったようだ。
著者はそんなウイルスが単なる物質とされるのはおかしく、明らかに生物の仲間だとの立場をとる。巻末の生命とはなにかを考えるくだりで「生命の輪」の一員としてウイルスを考える大きな生命観に頷いた。
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