漫画家まどの一哉ブログ
「認知バイアス」 鈴木宏昭
「認知バイアス」
鈴木宏昭 著
(講談社BLUE BACKS)
日常生活に潜む思い込みや勘違い。認知のズレを招くさまざまな要因にはどんなものがあるのか?
人間が同時に注意できるものが限られていることや、マスコミ等で多く耳にすることを実際多いと思ってしまうなど、言われればなるほどそうだろうなと思うことばかりで、大きな意外性はないが納得できる。第一印象や自己決定感覚についてもそうだ。
しかし人間はじっくり熟慮するいとまなく、急いでとりあえずの判断をして生きていかねばならない。このヒューリスティックという概念は初めて知ったが、われわれの暮らし方と認知を考える上で基本となる概念だ。つまりどうこう言っても認知のズレは起こらざるを得ないわけだ。
最終章で、今まで実験してきた認知の間違いも、実際には実験時に考慮しなかった原因が現実にはあることなど、省みていて肯ける。長い人類史のなかでつい最近膨大に増えた情報量とその解釈のためのことばと抽象化など、そもそも人間の暮らしには必要でなかった。人は大自然の中で野生的に生きていたのだ。ここが基本。
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