漫画家まどの一哉ブログ
「近代の呪い」(増補) 渡辺京二
「近代の呪い」(増補)
渡辺京二 著
(平凡社ライブラリー)
まぎれもなく西欧化であった近代化。その恵みと失ったものを検証する講演記録。
名著「逝きし世の面影」で近世(江戸期)の日本の幸福な社会を世に知らしめた著者ならではの視点で語られていてさすがだ。昨今オリエンタリズムあれど、どう見たって近代化イコール西欧化であったことは事実。特に人権思想と科学技術への目覚め。
その人権思想が世界人類に普遍的なものと我々は思っていたが、現在進行しているガザ爆撃などを見ると、西欧人の視野はアジア・中東人にまで及んでいなかったようだ。著者も批判するとおり中国現政権は西欧の人権思想を否定しているのだからもっての外である。
悲惨なフランス革命から始まった国民国家。その国民国家と対峙するために大急ぎで幕藩体制から中央集権体制へ変わる必要があったことがよくわかる。これも江戸期ののんびりした幸福な社会を考察した著者ならではの解説だと思った。
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