漫画家まどの一哉ブログ
「秋」 アリ・スミス
読書
「秋」アリ・スミス 作
(新潮クレスト・ブックス)
ブレグジット後を描いた最新小説。眠り続ける101歳の隣人男性に寄り添う主人公女性。幼い頃や若い頃の思い出が、現在と入れ替わり立ち替わり進行する。静かな人生の成り行き。
なんとなく気なっていたが、書店でパラパラと文体を追ううちに惹かれて買った小説。正解だった。一見あまり巧まないような、自然でプライベートな独り言のような口調ながら、会話も地の文もじわじわと染み込んでくる不思議な感覚。
隣人の元作詞家はまだ少女である主人公と散歩しながら、世界や文化についていろいろと語りかけるが、けして教訓的なものではなく彼なりのスタンスをお勧めするといった具合だ。ことさら主人公の生き方が強調されたり、隣人の元作詞家の世界観が推奨されたりするわけではなく、ちょうどいい塩梅で、寝物語を聞かされるくらいでそれとなく進んで行く。この心地よさ。
パスポート更新の理不尽な手続きや母親の骨董品趣味などいろいろなエピソードもデフォルメされることなく、日常の一コマとして登場。
ブレグジット後といっても直接その事態が描かれているのは少しだけで、表現されているのは社会の空気といったものなのかもしれない。
「秋」アリ・スミス 作
(新潮クレスト・ブックス)
ブレグジット後を描いた最新小説。眠り続ける101歳の隣人男性に寄り添う主人公女性。幼い頃や若い頃の思い出が、現在と入れ替わり立ち替わり進行する。静かな人生の成り行き。
なんとなく気なっていたが、書店でパラパラと文体を追ううちに惹かれて買った小説。正解だった。一見あまり巧まないような、自然でプライベートな独り言のような口調ながら、会話も地の文もじわじわと染み込んでくる不思議な感覚。
隣人の元作詞家はまだ少女である主人公と散歩しながら、世界や文化についていろいろと語りかけるが、けして教訓的なものではなく彼なりのスタンスをお勧めするといった具合だ。ことさら主人公の生き方が強調されたり、隣人の元作詞家の世界観が推奨されたりするわけではなく、ちょうどいい塩梅で、寝物語を聞かされるくらいでそれとなく進んで行く。この心地よさ。
パスポート更新の理不尽な手続きや母親の骨董品趣味などいろいろなエピソードもデフォルメされることなく、日常の一コマとして登場。
ブレグジット後といっても直接その事態が描かれているのは少しだけで、表現されているのは社会の空気といったものなのかもしれない。
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