漫画家まどの一哉ブログ
「競売ナンバー49の叫び」 トマス・ピンチョン
読書
「競売ナンバー49の叫び」 トマス・ピンチョン 作
「競売ナンバー49の叫び」 トマス・ピンチョン 作
主人公エディパは大富豪の遺産管理人に任命され、不倫相手とともに調査を開始するが、まもなく不思議な消音ラッパのマークがついた郵便切手の謎に直面する。それはアメリカ郵便事業の闇の歴史であった。
いわゆる謎解きミステリーという形式は、作者は初めから結末を知っているのにわざと小出しにしているのが不満で、わかっているのなら最初に言ってくれればいいのにと思ってしまう。この小説はそんな謎解きミステリーのフリをした小説だが、だんだんと謎のマークとかつて存在した秘密組織の正体が明らかになっていくところは面白みがある。
そんなストーリー進行の部分もあるにはあるが、文章の多くが過剰に逸脱するエピソードで占められており、それ自体はだからどうだといったものだが、文章を追う楽しさはあるので読んでしまう。ただやはりこの暴走を楽しもうと思ったら、アメリカ史や60年代カウンターカルチャーの雰囲気を知っているほうがいいのだろうが、それが書かれているから意味があるといった評価は違うだろう。カオス・万華鏡といった面白さとは別のものだ。
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