漫画家まどの一哉ブログ
「ナショナリズムとは何か」帰属、愛国、排外主義の正体 中井 遼
「ナショナリズムとは何か」帰属、愛国、排外主義の正体
中井 遼 著
(中公新書)
ナショナリズムはいつどのようにして現れるのか。ネーション(国民/民族)を維持・強化するシステム、右派ポピュリズムの由来を考察する。
帰属意識、愛国心とプライド、排外主義と優越感情など、その成り立つ原因については一見簡単に納得してしまいそうだが、実はエビデンスの問題がある。著者はさすがに学者だけあって(あたりまえだが…)必ず統計学的手法を駆使してその成り立つ理由を裏付ける。それだけに読み物のとしてのノリは失われるがこれが良書というもの。
たとえば自国を身近に感じるか、自国を他国より優れていると思うか、外国人が近所に住んでいても良いか、などの感情は必ずしも相関せず、けっこう国によって正反対(自国を誇りに思うが外国人が住んでいても気にしないなど)である。また愛国心に対する肯定と否定も多くの国に案外同じだけある。
近代化の過程でどうやって旧来の地域社会のネーションが、大きな国家意識へとまとまっていくか。教育、出版、鉄道の普及や国際的スポーツ大会、国家・国旗、軍隊などが部族間の壁を越える政策がとられたか。また内戦も他民族国家であることより経済的貧困が原因であることが明らかにされる。
経済的に苦しい労働者が排外主義になっていると思われがちだが、失業者や生活の不満がある者がむしろ外国人に寛容。ホワイトカラーもブルーカラーも低学歴・低スキル移民を嫌う福祉排外主義になっている。などなど具体的にデータをとってみれば、単純な思い込みでは気づかないナショナリズムの正体が現れてくる。
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