漫画家まどの一哉ブログ
「20世紀ラテンアメリカ短篇選」
「20世紀ラテンアメリカ短篇選」
(岩波文庫・野谷文昭 編訳)
マジックレアリスムと豊かな物語性で、20世紀世界文学に躍り出たラテンアメリカ文学。16作品を性格別に4つに分類して編纂。
「決闘」(マリオ・バルガス=リョサ):対立する若者グループの間でついに代表者による決闘が行われる。片手にナイフ1本のみを持って切り掛かり、体をかわし、傷つきながらの消耗戦が続く。つい最近「街と犬たち」を読んだところなので、リョサの描く男たちの世界にまた出会った感覚。リョサにはこういう世界があるのか。
「リナーレス夫妻に会うまで」(アルフレード・ブライス=エチェニケ):診察室を断り喫茶店で精神科医のカウンセリングを受ける男。明るい内容の夢や旅先での出来事を語るが、あまりに偏執狂的で考えすぎ。この男の語り口が面白く、彼にとっては困難事であるが我々読者にとっては愉快という仕掛け。
「水の底で」(アドルフォ・ビオイ=カサーレス):半魚人を描いた怪奇小説のような話だが怪奇感はまるでなく、かといって幻想的な味わいもない。なにしろサルモン(鮭)医師による鮭の内分泌腺を利用する若返り術という、医者の名前からしてふざけた設定。かといってSFでもないキテレツな作品。
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