漫画家まどの一哉ブログ
「本当の話」 モンテスキュー
「本当の話」
モンテスキュー 作
(岩波文庫・田口卓臣 訳)
数千年の時代をさまざまな人間に転生しながら生きてきた、不思議な人々の回顧談。あいも変わらぬ人間社会をアイロニカルに描いた奇想文学。
「法の精神」(未読)のモンテスキューが、まさかこんな空想的で愉快な小説を書いているとは意外だった。百科全書派おそるべし。5人の語り手は輪廻転生を繰り返し、いろんな男や女は言うに及ばず、虫や動物の姿で暮らした時代もある。本来の自意識は男でありながら女として生まれ変わることの多かったタイプや、家畜の目から見た人間どもの有様など面白かった。
しかしモンテスキューが知識人であるせいか、語り手の生活範囲はどうしても上流階級であり、描かれる人間には限界がある。もっと庶民や農民を見たかった。しかも語り手が4人目5人目と進むに従って風刺もユーモアが消えてしまってしだいに真面目なものとなり、説教くさい仕上がりとなってしまったのは残念だ。
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