漫画家まどの一哉ブログ
「眠りなき狙撃者」 マンシェット
読書
「眠りなき狙撃者」 ジャン=パトリック・マンシェット 作
「眠りなき狙撃者」 ジャン=パトリック・マンシェット 作
兵隊上がりの殺し屋。仕事として殺人を重ねていると、自身も狙われる身となってしまうのか。恋人や旧友を殺されながらも、新しい殺人を重ねねばならない。いろいろな種類の銃を分解・組立て使い、いろいろな車を乗り回し、危機一髪のアクションがくり返される。
これがハードボイルドというものか、ムダの無い乾いた文体で読みやすいが、冷静な描写のせいか、読みだしたら止まらないという感じではない。だいたい主人公になにが起きようが、ああそうなのという気持ちで、この男がどうなろうが心配する理由がない。殺し屋なんだから仕方がない。
だんだんと組織の上層や黒幕が登場して事件の本質が明らかにされるが、これもまあそういう業界だからそんなもんだろうというか、あたりまえの気がする。他人の仕事の話を聞かされているワケだから、きっつい業界やなあというのがだいたいの感想である。
ところどころ気持ちのいい文章があって、北極からやってくる冷たい風が眠る主人公の家にたどりつくラストの数行が良かった。
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