漫画家まどの一哉ブログ
「生きることと考えること」 森 有正
「生きることと考えること」
森 有正 著
(講談社現代新書)
著者がどのように自身の哲学を作り上げてきたか。人生をふりかえり借り物でない自分のことばで考える生き方を綴る。
「感覚」や「経験」、「ことば」や「もの」について、徹底した肉体的スタンスがある。「経験」というものを常に自分が今現在関わって動いているもの。反対にその経験がまとめられて既に静止した状態になっているものを「体験」と呼ぶ。この今まさに経験している状態において、はじめて「ことば」も「もの」も実在化する。
我々が使っている「ことば」も「もの」も多くは既に語られて出来上がった概念を利用しているだけっであって、いちばん大切なのはそれぞれが自分の出来事として立ち上がる瞬間である。この瞬間(時間)は生きている自分の中でしか現れない。常にそこに立ち返っていなければ自分を見失う。これを自分に課して日々生きていくのはなかなか大変かもしれない。
それだけ世の中は既成の「ことば」と「体験」でできあがっているのであり、知らず知らずのうちに全て借り物を使って生きていることも簡単なのである。もともと主語のあいまいな日本は現在極めて危機的な状態にあり、すべてひとの考えで済ますことも可能。考えることは「ことば」を選び出すこととは違う。しかし「よく生きる」ことは「よく考える」ことである。
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