漫画家まどの一哉ブログ
「木曜日だった男」 チェスタトン
「木曜日だった男」
チェスタトン 作
(光文社古典新訳文庫・南條竹則 訳)
社会の破壊を企む無政府主義者の秘密組織。身分を隠して潜入した刑事が出会った七曜のコードネームを持つ奇人たちの正体は? ブラウン神父シリーズ以前のチェスタトン傑作長編。
徹底して荒唐無稽・奇妙奇天烈なお話。無政府主義者組織の面々がそれぞれかなり個性的な曲者で、ボスは「日曜日」と呼ばれる巨漢。メンバーの教授や博士、侯爵や書紀は「土曜日」や「月曜日」などのコードネームを持っている。
主人公の青年は次々とこれらの奇人たちと渡り合う展開になるのだが、いわゆるキャラが立ったエンターテイメント設定で飽きさせない。
これらの人物とだんだん膨れ上がる追いつ追われつの一大スペクタクルは、かなり現実離れしているので、ある種の幻想文学的風味と言えるかもしれない。言ってみれば漫画のような話だが文学的な味わいはあるので、ボルヘスの好みに沿うところかもしれない。
騒動がエスカレートしてゆくしかないストーリーををどうやって終わらせるのか?チェスタトンはそこまで考えていたのだろうか?という終わり方をする。
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