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「昼と夜 絶対の愛」 アルフレッド・ジャリ

「昼と夜 絶対の愛」
アルフレッド・ジャリ 作
(幻戯書房ルリユール叢書・佐原怜 訳)

20世紀文学を導いた、シュールレアリスムの先駆けとなるフランス前衛文学の始祖ジャリの小説作品2題。

「昼と夜」:自身の兵役体験を描いた小説だが、大半は病者として陸軍病院に入院しているで入院小説と言ってもよい。しかも兵役にしても患者としても事実自体への拘泥はあまりなく、基本的に観念小説。軍隊や病院で起きていることはわかるのだが、描写は現実を離れて夢幻的に飛躍してゆく。
したがって通常の意味での小説とは違うものだが、その文章の品と格調たるやさすがに俗がなく、難解ながらも身の引き締まる思いだ。
たしかに軍隊というところが愚鈍化された場所であるにしても、作者にとって小説として書くべきはそもそも観念やイメージであり、読者も凡庸な頭で現実を読み取ろうとすると殴られる。

「絶対の愛」:解説を読んで初めて話の流れがわかった次第。主人公をイエスに見立てて母親マリアとその周辺の物語だと解釈して読んでいた。主人公が実質的に神でありオールマイティな存在なので、なにが起きていても不思議ではない。とはいえこれも現実的なことはあまり起こらず、文章は基本的に幻想的味付けで彫琢されてなければならない具合なので、通常の小説作品とは異質すぎるほど異質である。一読しただけでこの構成を理解するのは自分には無理というもの。3読くらい必要だ。

幻想表現の内容自体に踏み込まない拙い感想だがこれが限界であります。

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