漫画家まどの一哉ブログ
「大尉の娘」 プーシキン
「大尉の娘」
プーシキン 作
(光文社古典新訳文庫・坂庭淳史 訳)
ロシア近代文学の父プーシキン最後の傑作。史実を元に組まれた波乱万丈の冒険ドラマ。
愛と冒険を描いたエンターテイメントの基本を抑えた見本のような作品。簡潔な文体がすがすがしく、世界名作文学ながら話は矢のように進む。
愛するマリヤを敵の手から救い出すべく突き進む青年貴族グリニョーフ。彼のゆくところピッタリ寄り添って離れない世話役の爺。このコンビがいい味を出している。敵役の敵将もいかにも野蛮だが人間味のある男。恋のライバルでもあり、最後まで悪さをする寝返った卑怯者。などなどキャラクター揃えも典型的なものだが、役割のためにこしらえたとは思えない説得力がある。
表題でもある大尉の娘マリヤはあまり活躍しないかとおもいきや、最後にあらぬ疑いをかけられて逮捕された恋人グリニョーフを救うべく奔走する。結局は最高権力者である女帝陛下の力を借りるところは、読者大衆も満足の王道的世界観というものだろうか。
PR