漫画家まどの一哉ブログ
「密告者」 フアン・ガブリエル・バスケス
読書
「密告者」
フアン・ガブリエル・バスケス 作
(作品社)
ナチス台頭の時代。多くのドイツ人が難を逃れて南米コロンビアに移住していた。大戦が始まるとアメリカの指示によりスパイと疑わしきドイツ人はブラックリストに挙げられ収容されることに。主人公(語り手)の父は法律家であり大学教授でもある名士であったが、かつて密かに友人の父をスパイ容疑で当局に密告していた。隠された事実を巡って繙かれる残された者たちの物語。
タイトルと長さからしてストーリー本位な構成を想像したがそんなことはなく、時間を錯綜させて登場人物に語らせていく組立である。それでも充分スリリングな味わいがある。
この長さはほとんどが語り口調で書かれているせいで、地の文からして一人称で心のつぶやきを追いかけたもの。その他は会話、もしくは1人語りで雑談的な部分も含めてリアルに表現しているので、いきおい長くなる。しかし冗漫な印象は全くなく、マジック抜きのリアリズムで読み易い。
ところで肝心の密告はどこでどのように行われたか。その内容はどんなものか。そして最も気になる、なぜ父親は友人家族を売るようなまねをしたのか。これらの謎は謎のままなのである。
「密告者」
フアン・ガブリエル・バスケス 作
(作品社)
ナチス台頭の時代。多くのドイツ人が難を逃れて南米コロンビアに移住していた。大戦が始まるとアメリカの指示によりスパイと疑わしきドイツ人はブラックリストに挙げられ収容されることに。主人公(語り手)の父は法律家であり大学教授でもある名士であったが、かつて密かに友人の父をスパイ容疑で当局に密告していた。隠された事実を巡って繙かれる残された者たちの物語。
タイトルと長さからしてストーリー本位な構成を想像したがそんなことはなく、時間を錯綜させて登場人物に語らせていく組立である。それでも充分スリリングな味わいがある。
この長さはほとんどが語り口調で書かれているせいで、地の文からして一人称で心のつぶやきを追いかけたもの。その他は会話、もしくは1人語りで雑談的な部分も含めてリアルに表現しているので、いきおい長くなる。しかし冗漫な印象は全くなく、マジック抜きのリアリズムで読み易い。
ところで肝心の密告はどこでどのように行われたか。その内容はどんなものか。そして最も気になる、なぜ父親は友人家族を売るようなまねをしたのか。これらの謎は謎のままなのである。
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