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「パリの夜」革命下の民衆 レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ

「パリの夜」革命下の民衆
レチフ・ド・ラ・ブルトンヌ 作
(岩波文庫・植田祐次 編訳)

フランス革命で騒然とする夜のパリを歩き巡り、虐殺と混乱を綴った渾身のルポ文学。

そもそもこの作品。最初は自身を「観察するふくろう」と名乗って、「ばらばらにされた死体」や「女装の若者」など毎夜出会う風変わりな出来事を、暇を持て余す「気ふさぎ婦人」に報告するという体裁で書かれていて、そのまま続けてもらったら楽しい日記文学だった。

ところが時代はフランス革命の真っ只中となり、バスチーユ監獄襲撃から始まって物騒な出来事が次々と起こり、呑気な夜の散歩どころではなくなる。
そうなると恥ずかしながらフランス革命に関する知識が乏しい読者(私)としては、細かい推移についていくのは無理というもの。そして事件はひたすら悲惨な殺戮の繰り返しとなる。これも革命ゆえ仕方のないことなのか…。

作者レチフは貴族階級には批判的、王権やブルジョアジーには親和的なようす。彼にとっておおいに憎むべきは下層階級で、彼らは社会的視野ももたずひたすら利己的で、おもしろがって残虐非道な殺戮をくりかえす許されざる輩。身分が下層ゆえかどうかはともかく、こういった人間はいつの世でもいるようだ。

たとえば漫画で読むフランス革命のようなもので、あくまで小説であるにしても、ルイ16世が断頭台に送られるまでの推移が理屈抜きで分かる。ただあたりまえだが背景となる政治の動きはこちらが学習しないとわからない。

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