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「ジム・スマイリーの跳び蛙」 マーク・トウェイン傑作選

「ジム・スマイリーの跳び蛙」
マーク・トウェイン傑作選
(新潮文庫・柴田元幸  訳)

小説家・エッセイスト・ジャーナリストなど多岐にわたって活躍したマーク・トウェイン。ユーモア小説を中心に集めた短編・小品集。

マーク・トウェインがここまでナンセンスで愉快な短編を書くとは知らなかった。ちょっとニンマリといったレベルではなく本気で笑える。読んでいてウキウキとして楽しい。文豪が愉快な物を書くと必ず風刺小説といった意味づけをするのは悪習である。

ほとんどの証人が事実とかけ離れた無関係な話ばかりする裁判記録。賭け事中毒の男が仕組んだ跳び蛙の高さ比べ。農業について全く無知な人間が代筆した農業新聞のトンデモ記事。経済論の執筆に集中する間にアンテナ詐欺に引っかかってゆくインテリ。などなど全編この種のユーモア短編で編集してもらっても私的にはよかった。

「盗まれた白い像」はやや中編だが象が象ならぬ怪物的な存在で、街に出てゴジラレベルの破壊の限りを尽くす。ありえないナンセンスな出来事が続き、対応する警察のほんとうの目論見がミソなのだが、もう少し短くてもいいかと思う。
「失敗に終わった行軍の個人史」も中編で、南北戦争に参加はしたが全然戦う気もなく逃げ回っていた南軍の村人たちの話。事実こんなものかもしれないが、やや冗長な気がした。

基本的にマーク・トウェインはあまり深刻ぶらず自由に空想の羽を伸ばすタイプの作風なのかな。

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