忍者ブログ

漫画家まどの一哉ブログ

   
椎名麟三を読む
読書(mixi過去日記より)
椎名麟三を読む

自分の読んだのは、講談社文芸文庫の短編集。
作者は戦前ごく一時期、共産党(もちろん非合法)の細胞であったが、その地下活動家としての苦悩を描いた作品が、なんだか青臭くてつまらなかった。
というわけで敬遠していたのだが、後期の短編からあらためて読んでみると、同じ共産党の細胞のはなしでも、うんとくだけていてユーモラス。

例えば「カラチの女」:遠くカラチの資産家の末娘が、婿探しに内地の日本人を希望していて、莫大な持参金つきである。という近所の食堂のうわさを真に受けて、主人公の私はぜひその娘と結婚して、大金を党の活動資金にあてようと画策する…。

また作者の少年時代の経験をもとに描かれた表題作「神の道化師」が傑作。
破綻・困窮した家庭から家出した中学生の主人公。無料宿泊所に出入りすると、そこはモルヒネ中毒者や乞食など、社会の最底辺に屯する人々の巣窟だった。ここにいてはいけないと、仕事を見つけて脱出をはかるも、同宿の中年乞食の男に溺愛され、なにかと世話になってしまう。

この小説のラスト近くを紹介。
そして準次は、あるレストランへつとめることになったのだ。もうその彼は、家出したときの彼ではなかった。立派な王城の住人になっていたからである。ただ住んでみると、その社会という王城は、彼の期待に反して実にくだらない、あわれむべきものであったが、しかし彼の捨てることの出来ないものであった。

このフレーズがいいです!

拍手[2回]

PR
  
カレンダー
05 2017/06 07
S M T W T F S
1 2 3
4 6 7 8 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 21 22 23 24
25 27 28 29 30
フリーエリア

「世の終りのためのお伽噺」
アックスストア
「洞窟ゲーム」
アックスストア 西遊
「西遊」
amazon ヨドバシ.com
アックス75号
アックスストア

祭り前

秘密諜報家
最新コメント
[08/13 筒井ヒロミ]
[02/24 おんちみどり]
[05/10 まどの]
[05/10 西野空男]
[01/19 斎藤潤一郎]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
madonokazuya
性別:
非公開
自己紹介:
漫画家
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
カウンター
カウンター
フリーエリア
Copyright ©  -- まどの一哉 「絵空事ノート」 --  All Rights Reserved

Design by CriCri / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]