漫画家まどの一哉ブログ
「少女病」 田山花袋
「少女病」
田山花袋
語り手は小説作品が文壇で話題にもなり、ふだんは編集者として雑誌社に務める妻も子もある37歳の男である。彼は毎日の労働や家庭生活にこれといった喜びも見出せず、それどころかまさに苦役と感じており、唯一の楽しみが通勤時に歳若き可憐な女性を鑑賞することである。
毎朝通勤時に同じ道をゆく美少女や、電車の中で必ず出会う少女。あまりジロジロ見てはまずいので、気取られぬような距離の斜め前の座席を取ることや、満員時に少女の近くで髪の匂いを嗅ぐことの喜びなどなど、そのロリコンぶりが詳述される。
この男が書くものも少女小説ばかりだ。これが物笑いの種となっており、周囲からあいつは一種の病気だ。生理的にどこか陥落(ロスト)している。との診断を下されている。花袋自身がそうだというわけではないかもしれないが、「蒲団」と同年の作品であり、これも私小説なのかもしれない。一応タイトルどおり病理ということになっております。
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