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「キリスト教入門の系譜」 岡本亮輔

「キリスト教入門の系譜」
岡本亮輔 著
(中公新書)
近代日本においてキリスト教はどう解釈され広められてきたか。内村鑑三から現代まで、先頭となって切り開いてきた人々の生涯を追う。

私の大好きな内容で、期待どおりの面白さ。
明治期、なんといっても内村鑑三の無教会主義の影響が大きく、そこに連なる人もみな一高~東大の秀才ばかり。彼らの能力をもってすれば個人が直接聖なるものに繋がるありかたがいちばん納得のいくものであろう。聖書を読んで考えて研究し文章にするインテリゲンチャの集まりである。

キリスト者の中でも、イエスの奇跡など現代の科学ではとうてい信じられない内容に疑義を挟む見解もある。そんななかで科学など無視してまるごと全部信じ込む矢内原忠雄が自分の中では正解だ。超越者はすべてを超越した存在であり、己を捨ててまるごと信じるところにしか宗教の意義はない。しかしこれは社会に原理主義的害悪をもたらすかもしれない。

そうやって内村と無教会派などプロテスタントの観念的な活動とくらべて、少数だったカトリックの指導者たちのなんと具体的なことよ。聖書は自己解釈するものではなく、教会の伝統と秩序を信頼するもの。岩下壮一や戸塚文卿は医師としての活動もあり、良きサマリア人たるべく地に足のついた活動には大いに納得がいく。

私の好きなキリスト教文学者のうち、遠藤周作の「沈黙」は圧倒的な名作だが、カトリック会からは全否定されていたのか。
遠藤はイエスを何一つ奇跡を起こせず、民衆も自分をも救えず、それでもただただ病者や貧者や弱き人々にに寄り添おうとした人間と見いだす。これこそ伝説を省いたほんとうのイエスの姿だと思う。

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