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「MIND(心の哲学)」 ジョン・R・サール
読書
「MIND(心の哲学)」
ジョン・R・サール 著


生物学的自然主義を基本に人間の主体的意識・心の正体に迫る哲学入門書。
まず文体が非常に読みやすい。外国語の構文をそのまま日本語のそれに入れ替えたような翻訳文くささがなく、はじめから日本語で書かれているような読みやすさがある。素直に文を追って行けば論理の展開がわかる。だからといって内容が理解できるとは限らないが。

たとえば「志向性」という概念はやはり何度読んでもそのイメージがつかめない。イメージで考えるのが間違っているのかもしれないが、ほかに手がかりが持てない。

二元論の誤謬は納得出来るにしても、ニューロンやシナプスの働きが意識を生むと考えれば、うっかり唯物論でも正解なような気がするが、まてまてそれでは本書のテーマである意識の一人称性を見逃してしまう。意識は必ず主体的なものであり、三人称的に証明しても仕方がない。行為の理由は因果的にはっきりしていなくても自分が行為したという感覚はあり、自分は明日明後日にも必ず持続して自分であるとわかっており、「私が私であると感じるようななにかが、確かに存在している」。考えてみれば古今東西すべての人間の厖大な意識はそんな主体的な意識しかなかったんだな。そうやって生きて死んでいったんだ。

神経生物学的にそのときの脳状態によって決定される意識が、なぜ一人称的なのか、なぜ志向性を持つのか。この謎について多角的に迫り、「心的因果」「自由意志」「無意識と行動」などの視点で語られるとおおいに興奮してしまう。やはり哲学といっても生物学的自然主義に立脚してくれているおかげで自分でもなんとかついて行ける次第。

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