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漫画家まどの一哉ブログ

   
「青きドナウの乱痴気」 良知力
読書
「青きドナウの乱痴気」良知力 著
(平凡社ライブラリー)

去年阿部謹也を読んで面白かったので、良知力も読んでみた。
1848年ウィーンに吹き荒れた革命と反革命の嵐を、当時暮らしていた民衆の視点から描いた社会史の傑作。

まず当時のウィーンの街の構造。城壁の内側と外側に住む人々にどんな違いがあるか、またさらにその外側のエリアに暮らす人々など、少しずつ学びながらしだいに3月や10月の騒乱に踏み込んでいく。
同じことでも歴史学の本で読むとどうしても宮廷と民衆の対立の構造、または周辺国の軍事的動向などを追っていくことになりがちで、理解の質が硬い。また革命というものを市民革命からプロレタリア革命への単線的な基本構造に当てはめてしまいがちである。

ところが城壁内に住む市民と言っても多様で、同じ職人と言ってもパン屋と肉屋は上級であり下層市民に対して横暴な商売をしていたなど、細かな差異があるのも初めて知った。市民には市民のプライドがあり郊外から流れ込んでくるプロレタリアートなど完全に見下している。宰相メッテルニヒは批判するが皇帝は大好きで、プロレタリアートは大嫌い。そんな市民軍が何を守ろうとしているのか。市民軍と国民軍との違い、徐々に勢力を増すプロレタリアートなど事態は単純には成り行かない。

反権力的な意思表示が、シャリバリ(猫ばやし)という笛や太鼓を鳴らしての楽しい大騒ぎから始まるのは古今東西ありがちなことかもしれない。また多くの学生は困窮しており、アカデミー兵団を作って下層市民と連帯するが、夏休みに帰省するとその後帰ってこないなど、さもありなんと思われる。次第に女性が目覚めて女性のみの軍隊を組織するなど興味深いが、そもそもウィーンの下層階級の暮らしが悲惨すぎるのである。

通読しておもしろいが、歴史全体を把握するのはたいへんだ。

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