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漫画家まどの一哉ブログ

   
「消しゴム」 ロブ=グリエ
読書
「消しゴム」 ロブ=グリエ 作


1953年発表当時、ヌーヴォー・ロマンの嚆矢として世界を震撼させた作品とのこと。
未遂に終わった殺人計画、被害者はそれをいいことに自分を死んだことにして姿をくらます。派遣された主人公の特別捜査官は、真相を究明するため被害者の住んでいた屋敷を中心に街中を西へ東へ一日中歩き回るが、手がかりらしきものは何も見つからない。とは言ってもまるで散歩しているような捜査で、切迫した様子はちっとも感じられない。謎は謎のままほったらかしだし、主人公はあちこちで消しゴムを買う。ヘマをした犯人と冷徹なボス。自殺説にこだわる凡人警察署長。一つの事件がいろいろな人間の思惑で解説されるうち、犯行現場に戻った被害者と捜査官が偶然にも未遂事件を完結させてしまう。


といった推理小説仕立てでまことに面白い。語り手も時間も重なり合うように行きつ戻りつ進むので、わかりやすい単線的な時間軸はない。またさほどではないが、人間の主観を離れて客観的事物をそのまま描写する作者おなじみの「視線派」スタイルもある。そういった諸々が発表当時はたいへん新しい試みであっただろうが、現在の我々が読むと、言われなければ気付かないくらい自然だ。人間中心の実存主義に反旗を翻したとされたスタイルも、すでに多彩な表現の一種として認知されているのか、それともその意味を失ったのか。そういう文学史的な役どころに感動しなくても楽しさは充分にあります。

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