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「天体による永遠」 ブランキ 
読書
「天体による永遠」 オーギュスト・ブランキ 著

パリ・コミューンに至るフランス革命史をよく知らないし、稀代の革命家とされるブランキのことも全く知らないで読んだ。ブランキ晩年の獄中にて書かれた宇宙論。

この著作が書かれた1871年の時点で宇宙についてどれくらいの知識が共有されていたかわからないが、スペクトル分析の結果遥か宇宙の彼方でもその組成は同じであることはわかっていて64元素の一覧表まで添付してある。
宇宙が無限であるにもかかわらず、構成元素は100あまりで、したがって宇宙を構成する無数の恒星はほぼ同じようなものであって、そのまわりを回る惑星の距離や性質も似たようなもの。そうなると地球と同じ環境の惑星が無数にあるということになる。
ここからは無限論のはなしで、われわれとまったく同じ地球がまったく同じ運命を持って、まったく同じ個々の人生が永久にくり返されているという世界観が展開される。これがベンヤミンが震撼したペシミズム。そしてニーチェの永劫回帰が容易に思い起こされる。

ままならない人生と世の中が永遠にくり返されているのは、そうやって俯瞰すれば確かにニヒリズムでありペシミズムであるが、個々の人生にとっては一回きりとしか感じられないのだから、この今の人生がたとえ2620回目だったとしてもどうということはないはずと思う。この人は何度も投獄されていて、人生の大半を獄中で過ごしているから、この世界観にたどりついたのではないか?と浅薄なことを考えてしまう。

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