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漫画家まどの一哉ブログ

   
「地獄編三部作」
読書
「地獄編三部作」
大西巨人
 作

ごつごつとした観念的な抽象的な言葉で彫琢された文体。骨格だけがむき出しになっているような、がちがちの文章。それが論理を展開するために使われるのではなく、あくまでも小説の役割として使われていて、つまり人物の内面や情景描写のために使われていて、読んでいるとクラクラと引き込まれる。こんな文体があったのか!という印象。これも美文の一種だ。例えば

__それは、遠い以前に税所が見失った「人間性への確信」および「生と存在の肯定」の回復可能に関する幽かな予感の瞬きであった。その明滅する微光を抱き締めながら、税所は、一人の女性との合一の意志を・瑞枝との結婚の決意を、彼の内側に育成することができた。

__そんなふうに、敗戦後の税所は、たまたまみずから省みては、そのたびごとに、彼自身の過去を恥辱と醜悪と卑屈と汚穢との堆積としか感ずることができなくて、そういう唾棄するべき彼自身をほとほとこの世から抹殺したいほどに激甚な疼きの発作を心裏に覚えるのであった。


こんな調子です。

小説は第一部で台本形式,日記形式などを織りまぜながら、第二部はまるごと小説内小説になっているといったコラージュ的面白さがある。またこの小説が未発表を余儀なくされた理由である、当時の作家・批評家達が誰と分かる仮名(坂口鮟鱇・汁菜輪蔵など)で登場するパロディもあり、この作者の愉快な資質がうかがわれるというもんだ。
さて地獄編ときいて、どんな地獄かなと思うと、これが女を死に至らしめる罪作りな主人公の内面的煩悶である。そのあたりはよくある話で、それ自体は自分はどうでもよかった。

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