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「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」

読書
「信長 あるいは戴冠せるアンドロギュヌス」

宇月原晴明 作


ローマの変態皇帝ヘリオガバルスによって奉じられた牛頭人身の両性具有神バール。このシリアの荒ぶる古代神は、尾州津島の牛頭天王(ごずてんのう)と同体であり、1千年後織田信長によって奉られたのではないか?そして実はヘリオガバルスも織田信長も両性具有者(アンドロギュヌス)だったのではないのか?ベルリンで謎の日本人青年の訪問を受けた前衛詩人アントナン・アルトー。二人はこの信長伝説を証明するべく、しだいに親交を深めていく。だが実はそこにはナチスとヒットラーによる罠が仕掛けられていたのだ。


ナチスが台頭するドイツと、戦国時代の日本を往還して進行する奇想天外なストーリー。東西の古代神話をひもときながら仮説どうしを結びつけていく作業は、しょせんエンターテイメント上のこじつけであり、そのまま語られても退屈なものになりがちだが、どうしてナチとアルトーのスペクタクルなんかも取り混ぜてあって、なかなかに面白い。

それよりも半分以上を占める信長vs戦国大名のせめぎ合いが、ふつうのエンターテイメント歴史小説として出色の出来でわくわくする。司馬遼太郎と山田風太郎の忍法帳シリーズを合わせたような楽しさがあった。


これだけの奇想小説だが、あくまで娯楽のために計算されて仕掛けられているので、奇書といった感じはしなかった。小説における文体は漫画における画質と同じで、エンターテイメント小説には個人的に受け付けないものが多いのだけれど、この文体は気持ちよく読めた。と、これはあくまで個人的な話。



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