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「ヒロシマの人々の物語」 G・バタイユ
読書
「ヒロシマの人々の物語」G・バタイユ 著 酒井健 訳
(景文館書店)

世界を驚かせたジョン・ハーシーのルポルタージュ「ヒロシマ」(1946)。このルポに触発されたバタイユがすかさず発表した論考。
原爆が一瞬にして大勢の人間の命を奪う恐ろしさに着目するも、毎年5千万人死んでいく人類全体のシステムへと話が展開していくところが奇妙な気がする。そのうち宗教者の瞑想やニーチェの永劫回帰など「感性のきわめて重要な体験」へと進んでいくとどこへ連れて行かれるのやらとまどってしまう。バタイユの使う独自の用語をこの小論を読んだだけで正確に把握するのは無理というもの。

訳者による丁寧な解説があってようやく助かった。この解説にあるようにバタイユの消費の概念「普遍経済学」の視点を知っていなければこの小論考はわからないかもしれない。とりわけ訳者が提出した北条民雄「いのちの初夜」を引用しての読み解きはきわめて有効で、人間であることが剥ぎ取られた悲惨な状況にあっても揺らぐことのない生命の存在に気づかされる。現代で言えば相模原の事件にみられるように、有用性から人間を判断することへの批判が明らかになる。

ところがバタイユのわかりにくさは、どうしてもヒロシマの原爆被害そのものへの論述を期待するからで、まさか「普遍経済学」その他の概念が展開されているとは思わないからではないか。原爆という圧倒的な悲劇を前にして、もう少し核兵器自体について語られるはずという思い込みがあった。そこが甘かった!

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