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漫画家まどの一哉ブログ

   
「架空12月号」に思う
キクチヒロノリさんの漫画はひとつひとつの絵のすき間にのめり込んでしまう。天才というか異才というかバキトマというか、そのいずれも正解であるが、これが漫画かというと広い意味では漫画だ。コラージュ的な作品を作る人は、一編の漫画が一冊の独立した同人誌のような感覚をもっているのか、編集感覚で描いている気がする。この編集感覚はいつもの斎藤種魚作品にも感じるところ。いうまでもなくこのキクチヒロノリ作品は、絵と話のバランスを著しく欠いて絵に偏っているので、他誌ではムリだな。

絵に偏っているといえば非常夢遊口さんの作品も絵の内容に見入ってしまう漫画だが、これも漫画としてはギリだな。ここまで絵が魅力的だとおそらくもう多くのイラスト作品をものにしているはずで、細密に描かれたカラーの一枚絵があるとすれば、そっちを見たいと思ってしまうのも人情であろうよ。もしこの絵でストーリーと渾然一体となった漫画が完成したら、つまり絵だけに過度に引きずられない漫画があったらそれはすごいよ。

そういう意味で絵と話が渾然一体となって分離せずに自然に出てくるという、フツーの漫画の才能が勝見華子さんにはおおいにある。構成・構図・場面転換・コマ展開・セリフ・その他なんの問題もない。小さなコマを使って人物の行動を刻んでいるのも効果的。オチしか読めない人は「なんだ、リストカッターの話か」と思うだろうが、オチに騙されるなよ。そこに至るまでの内容にリアルがあるんだ。しかし内容のわりに絵に情感がないのが不思議で、技術不足の線でも雑に見えない作家もいるが、そういうタイプではないのが損だな。しかしたのしみだ。

西野空男はアベシンの原作をもうかなり自分のものにしていて、ごくごく静かな日常のエピソードを丁寧に描いてゆくことによって、ゆったりと流れる時間が生まれていく。絵もハナシにちょうどよく馴染んでいて作品世界の魅力が倍増である。絵を見ているのとハナシを追っていることが分離しない、まさに漫画というジャンルならではの楽しみが熟成された最高のコラボになってきた。

私の「西遊8話」は自分ではけっこう気に入っている一話です。お楽しみください。

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