漫画家まどの一哉ブログ
「黄泥街」 残雪
読書
「黄泥街」残雪 作
猛烈な陽射し、一転して長雨、強風。つねに蒸し蒸しとしたこの街に暮らす人々は大汗をかき、皮膚には疥癬をこしらえ、頭には虫が湧き、汚物は垂れ流し。ごみと腐臭の中にうごめく害虫・蜥蜴・蝙蝠たち。これらただひたすら不潔な世界で生きている人々の言動には理路がなく、会話はまったく成立しないまま続けられていく。
シュルレアリスムではしばしなそうだが、残雪はイメージ本位の作家で、絵画的な世界描写が延々と展開されてゆく。ストーリーの進展というものはほとんどなく、章立てられているもののさほど違いがあるわけではない。ストーリーの進展がないばかりか、会話というものが成り立っておらず、人物は各自勝手なことをしゃべっているだけで、この事態のままこの小説を読み通すのは一般的にはかなり苦行であるが、引き込まれてしまえば抜け出すことはできない仕組みになっているのだろう。
初めから終わりまで悪夢の中にいるようで、つねに息苦しい残雪作品のなかで、処女作とも言えるこの作品はまだかろうじて息はできる。少しスキがある感じだ。このスタイルを見つけた最初の作品だからかもしれない。
「黄泥街」残雪 作
猛烈な陽射し、一転して長雨、強風。つねに蒸し蒸しとしたこの街に暮らす人々は大汗をかき、皮膚には疥癬をこしらえ、頭には虫が湧き、汚物は垂れ流し。ごみと腐臭の中にうごめく害虫・蜥蜴・蝙蝠たち。これらただひたすら不潔な世界で生きている人々の言動には理路がなく、会話はまったく成立しないまま続けられていく。
シュルレアリスムではしばしなそうだが、残雪はイメージ本位の作家で、絵画的な世界描写が延々と展開されてゆく。ストーリーの進展というものはほとんどなく、章立てられているもののさほど違いがあるわけではない。ストーリーの進展がないばかりか、会話というものが成り立っておらず、人物は各自勝手なことをしゃべっているだけで、この事態のままこの小説を読み通すのは一般的にはかなり苦行であるが、引き込まれてしまえば抜け出すことはできない仕組みになっているのだろう。
初めから終わりまで悪夢の中にいるようで、つねに息苦しい残雪作品のなかで、処女作とも言えるこの作品はまだかろうじて息はできる。少しスキがある感じだ。このスタイルを見つけた最初の作品だからかもしれない。
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