漫画家まどの一哉ブログ
「火の書」
読書
「火の書」
ステファン・グラビンスキー 作
ポーランドを代表する恐怖小説作家の怪奇幻想短編集。四大元素のひとつである火にまつわる不思議な物語を収録。住宅火災をモチーフにした話が多く、勇敢な消防士と悪魔的な火との戦いなどわくわくと面白く読める。
エンターテイメント的なわかりやすさもありながら、作者は神秘的なものを信じているので、そこは本気度というものが窺える。そのせいか幻想文学としての味わいがあってここちがよい。やはり作者が安全圏にいて単に趣味的に書いているのでは迫真性が足りず、こちらも付き合おうという気にはならないものだ。
その点が実はこの短編種は微妙なところもあって、作者の内奥からやむなく出てきたというよりはやや作為が感じられるものもある。これは巻末のインタビューやエッセイでも触れられている天下のポーと比べてのことだが…。それとも耽美性の度合いによるのかもしれない。たとえば聖なるものの顕現をテーマとしたエリアーデの迫真性と比べると、大衆的に仕上がっている感じだ。比べてばかりでなんですけど…。
「火の書」
ステファン・グラビンスキー 作
ポーランドを代表する恐怖小説作家の怪奇幻想短編集。四大元素のひとつである火にまつわる不思議な物語を収録。住宅火災をモチーフにした話が多く、勇敢な消防士と悪魔的な火との戦いなどわくわくと面白く読める。
エンターテイメント的なわかりやすさもありながら、作者は神秘的なものを信じているので、そこは本気度というものが窺える。そのせいか幻想文学としての味わいがあってここちがよい。やはり作者が安全圏にいて単に趣味的に書いているのでは迫真性が足りず、こちらも付き合おうという気にはならないものだ。
その点が実はこの短編種は微妙なところもあって、作者の内奥からやむなく出てきたというよりはやや作為が感じられるものもある。これは巻末のインタビューやエッセイでも触れられている天下のポーと比べてのことだが…。それとも耽美性の度合いによるのかもしれない。たとえば聖なるものの顕現をテーマとしたエリアーデの迫真性と比べると、大衆的に仕上がっている感じだ。比べてばかりでなんですけど…。
PR
COMMENT