漫画家まどの一哉ブログ
「父と私 恋愛のようなもの」
読書
「父と私 恋愛のようなもの」森茉莉 著
森茉莉のエッセイは雑貨へのこだわりや貧乏暮らしなどを面白おかしく書いたものを読む事が多いが、このように最愛の父鴎外の思い出を丁寧に綴ったものを読むと、その文章の美しさに脳がとろける思いだ。
「乙女椿、過ぎ去った夏の日に、海岸で拾った桜貝が何枚となく集まって、私をおどかそうとして秘密に重なり、夜の内に出来ていた、そんなようにも見える乙女椿も、あった。」などなど…。
鴎外は茉莉をひざの上に乗せて溺愛するが、茉莉たち兄弟姉妹は鴎外が50歳を過ぎてから生まれた子供であったため、親子というよりは祖父と孫の感覚だったのだろうか。自分は鴎外も好きで幾つか読んだが、物静かで綺麗好きで繊細でやさしい、そんな鴎外の人柄がよくわかる。
「父と私 恋愛のようなもの」森茉莉 著
森茉莉のエッセイは雑貨へのこだわりや貧乏暮らしなどを面白おかしく書いたものを読む事が多いが、このように最愛の父鴎外の思い出を丁寧に綴ったものを読むと、その文章の美しさに脳がとろける思いだ。
「乙女椿、過ぎ去った夏の日に、海岸で拾った桜貝が何枚となく集まって、私をおどかそうとして秘密に重なり、夜の内に出来ていた、そんなようにも見える乙女椿も、あった。」などなど…。
鴎外は茉莉をひざの上に乗せて溺愛するが、茉莉たち兄弟姉妹は鴎外が50歳を過ぎてから生まれた子供であったため、親子というよりは祖父と孫の感覚だったのだろうか。自分は鴎外も好きで幾つか読んだが、物静かで綺麗好きで繊細でやさしい、そんな鴎外の人柄がよくわかる。
森茉莉に言わせると鴎外の本質は詩人で、偉大なる名翻訳家。小説は膨大な学問の力と怜悧な頭脳でこしらえたそんなに面白くないもの、きちんとしすぎているものらしい。森茉莉のほうが父鴎外より享楽的なタイプだったかもしれないです。
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