漫画家まどの一哉ブログ
「時間の非実在性」 マクタガード
読書
「時間の非実在性」ジョン・エリス・マクタガード 著
永井 均 訳・注解と論評
「時間の非実在性」ジョン・エリス・マクタガード 著
永井 均 訳・注解と論評
1908年に発表された時間論の古典的論文。本文自体はごく短いもので、それに対する訳者の丁寧な解説と論評の方にボリュームがある。文庫本一冊の内容はほぼ同じことを繰り返しきめ細かく掘り下げているのだが、正直理解できたかというと怪しい。
A系列という過去・現在・未来のつながりと、B系列という出来事の前後関係。この2種類の時間のあり方が入り組んで現れてくることは、そんなに違和感なく追っていくことができる。
問題は「端的な現在」といわれるもので、意識の内発的な現れとしてそれしかありえない、そうとしかありようのない現在という感覚。未来の想起も過去の記憶も、すべて現在の意識でしかないこの現在と、A系列(過去・現在・未来)との矛盾と言われると、何が矛盾なのか納得できない。
ただ、もし「端的な現在」が記憶や予測を持たなければ、時間という感覚はないかもしれない。それが時間の非実在性を証明するかどうかはわからないが…。
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