漫画家まどの一哉ブログ
「夜の寓話」 ロジェ・グルニエ
読書
「夜の寓話」 ロジェ・グルニエ 作
「夜の寓話」 ロジェ・グルニエ 作
著者は作家になる以前に著名なジャーナリストであり、この短編集はライターとしての経験を素材に編集・広告業界でうごめく人間達を描いたもの。といってもべつにその業界ならではの人物像を追いかけたわけではなく、人間一般のやるせなさを綴る。
●ジゼルの靴:リセ(国立高等中学)時代に、いじめられていたところを義憤にかられて味方したことから友人となった男ラリユー。彼は卒業後も半ばアウトローの道を歩むが、語り手(私)との奇妙な友情は続く。こういうインテリではない人物との話は想像できない展開となっておもしろい。
●脱走兵たち:軍隊時代に知り合ったジャーナリスト、ペレンの後日談。スペイン戦争のさなか、彼が最後に選んだのは、体内にペスト菌を抱えたまま忍び込みフランコ派を絶滅させるという突拍子もない仕事だった、果たして…。
●厄払い:報道部女性記者カルリと若手カメラマンラフレ。彼らがペアを組んで取材した先では必ず人が死ぬ。迷信深いカルリは呪いを消すために、一線を越えて二人の関係を変えようとする。
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