漫画家まどの一哉ブログ
「隊長ブーリバ」 ニコライ・ゴーゴリ
読書
「隊長ブーリバ」 ニコライ・ゴーゴリ 作
「隊長ブーリバ」 ニコライ・ゴーゴリ 作
ウクライナはザポロジエの街に住む連戦の勇者タラス・ブーリバ。彼はコサックの中のコサックだ。ロシア正教の宗教学校から帰ってきた二人の息子オスタップとアンドリーにもほんとうの戦争を体験させねばならぬ。安穏と平和を貪っているわけにはいかない。講和条約もものかは、いよいよ戦争を開始するのだ。東にダッタン人、西にポーランド人、南の海にトルコ人を相手にコサック魂を見せつけてやろうぞ。
白兵戦の時代までなら男子たるもの戦闘の覇者がヒーローだ。敵の首をはね街を蹂躙し殲滅する。これぞ男の進む路。男が戦場へ出なくてどうする。けっきょく男は戦争がしたい動物かもしれないね。
小隊の展開から銃を使った団体戦、1対1のせめぎ合いなど、やったりやられたりの戦闘シーンが実に巧みに描かれていてワクワクしながら読んでしまった。
敵国の姫に心奪われコサックを裏切ってしまう弟アンドリーの運命やいかに。囚われの身となり、斬首される寸前父ブーリバの声を聞く兄オスタップ。徹底して小ずるいユダヤ商人も再三登場。そして敗戦の隊長ブーリバの壮烈な最後とは。
というわけで、ゴーゴリと言ってもやっぱリアリズムだけじゃない、ロマンチシズム小説の快楽でした。
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