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漫画家まどの一哉ブログ

   
「チル」 松井雪子

「チル」
松井雪子 作
(講談社文庫 2008年)

山里で暮らす少女チルのまわりには彼女以外には見えない不思議な存在がいっぱい。珠玉のファンタジー4編。

天は二物を与える。自分にとっては「マヨネーズ姫」でおなじみの漫画家松井雪子さんは、れっきとした作家でもあるのだ。とは言っても「日曜農園」しか読んだことはないが、じんわり心に染み込む実に癒される筆致で、個人的にはベストの文体だった。

さて、この作品「チル」は松井さんが本格的に小説を書き始めるきっかけとなったものらしく、ファンタジーだとしても小説というものとはちょっと違う感触。
生と死の合間に漂う者たちがそれぞれの願いを持って少女に近づいてくる。どうしてあげるのが正解なのか大人でも悩む事態。少女も悩みながら成長する。大人になっても見えない彼らに出会えるのかな?

全編イラストで埋め尽くされた楽しい本です。

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