漫画家まどの一哉ブログ
「セルバンテス短編集」
読書
「セルバンテス短編集」(岩波文庫)
はるか昔のスペインでドン・キホーテが出版されたのが1605年。その後書かれた短編小説がこれだけ時代を超えておもしろいのだから、世界文学あなどるべからずである。
セルバンテスが小説家として活躍したのは69歳で亡くなるまでの10年間くらいで遅咲きの天才であるが、それまで実社会で従軍や負債・投獄などじゅうぶん辛酸をなめているので、この経験は創作に活かされているはず…。
「やきもちやきのエストレマドゥーラ人」:68歳の成金が14歳の娘を娶って、だれにも指一本触れさせないように高い塀で囲った家の中に厳重に囲いこむといった非道。これを外から突破しようとする話だが、実際自身の年齢を省みず、若い娘に求婚する大芸術家のエピソードなどよく聞くからね。
「愚かな物好きの話」:最愛の貞淑な妻を信じきれず、わざと友人による不倫をしかけて、結果破滅に至るバカな男。騙し合いのような内容で共感性羞恥の自分としてはやや辛かったが、二転三転するストーリーで引っぱってゆく。
「ガラスの学士」:自分の体がガラスで出来ていると思い込んだ男。内容は同時代の世相に対する風刺で言葉遊びの連続だが、てきぱきとした表現で現代の日本人でも読めてしまう不思議。
「麗しき皿洗い娘」:貴族の身分を隠して平民の荒くれた世界を楽しむ二人の若者。そして宿屋に潜む絶世の皿洗い娘。実は彼女の生まれは…。貴種流離譚の一種だが、この時代貴族といえども女は物みたいな扱いだ。
「セルバンテス短編集」(岩波文庫)
はるか昔のスペインでドン・キホーテが出版されたのが1605年。その後書かれた短編小説がこれだけ時代を超えておもしろいのだから、世界文学あなどるべからずである。
セルバンテスが小説家として活躍したのは69歳で亡くなるまでの10年間くらいで遅咲きの天才であるが、それまで実社会で従軍や負債・投獄などじゅうぶん辛酸をなめているので、この経験は創作に活かされているはず…。
「やきもちやきのエストレマドゥーラ人」:68歳の成金が14歳の娘を娶って、だれにも指一本触れさせないように高い塀で囲った家の中に厳重に囲いこむといった非道。これを外から突破しようとする話だが、実際自身の年齢を省みず、若い娘に求婚する大芸術家のエピソードなどよく聞くからね。
「愚かな物好きの話」:最愛の貞淑な妻を信じきれず、わざと友人による不倫をしかけて、結果破滅に至るバカな男。騙し合いのような内容で共感性羞恥の自分としてはやや辛かったが、二転三転するストーリーで引っぱってゆく。
「ガラスの学士」:自分の体がガラスで出来ていると思い込んだ男。内容は同時代の世相に対する風刺で言葉遊びの連続だが、てきぱきとした表現で現代の日本人でも読めてしまう不思議。
「麗しき皿洗い娘」:貴族の身分を隠して平民の荒くれた世界を楽しむ二人の若者。そして宿屋に潜む絶世の皿洗い娘。実は彼女の生まれは…。貴種流離譚の一種だが、この時代貴族といえども女は物みたいな扱いだ。
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