漫画家まどの一哉ブログ
「ここまでわかった甲賀忍者」 甲賀流忍者調査団
「ここまでわかった甲賀忍者」
甲賀流忍者調査団・畑中英二 著
(滋賀県甲賀市・サンライズ出版)
近年進んだ新たな研究成果を踏まえて監修された小冊子。甲賀忍者のユニークな実像を多くの画像とともに楽しく紹介。
甲賀という土地は近江国に属しながらも六角氏の支配下になく、伊賀のように守護大名を頂いている訳でもない、「甲賀郡中惣」という自治組織であったところが意外でおもしろい。戦国の世も仕事次第でどちら側にも付いて行き抜き、しかもゲリラ活動だから敵か味方かわからない。寝返りもする。自主独立の気風強く、仕事の都合上、敵・味方に分かれてもどこかの大名や重臣の家来となることは固く拒む。政治的敗者も甲賀に逃げ込んでしまえば追手が及ばなかったようだ。
有名な忍術書「万川集海」以外にも多くの文献・資料を駆使して甲賀忍者の動向、忍法、城館・城塁が解説され、たとえば島原の乱では反乱軍の城内に忍び込み、あわや命からがらで逃げ帰ったエピソード。赤穂藩改易事件(忠臣蔵)の情報収集。得意の毒薬や火術に関する秘伝の数々。など図版と共に解説されていて楽しい。甲賀の里を文献と共にめぐる観光案内も。
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