漫画家まどの一哉ブログ
いわゆる「ガロ系」の漫画は、狭いサークルの中にとどまっているようなところがあって、とくに自分のような作風だとなかなか他誌ともからめないようである。
もちろん好きでそうしているのではなく、世間の反応がそうだと言うハナシである。
ネット社会の広がりを利用して、大いに自作や友人の作品を盛り上げていきたいところだが、ネットのつながりというヤツが実際には知り合いばかりで、告知するにしても評価するにしても、なかなかほんとうの第三者に繋がっていかない。コップの中で終わっている。良い悪いより先に、まずその存在を多くの人に知ってもらいたいのだが、世の中の膨大な漫画の出版量と広告にとてもたちうちできないのが正直なところ。
もちろん作風からして一般に受け入れられない面はあるかもしれないね。
自分も今まで単行本を3冊出して、「洞窟ゲーム」のような作品集なら新たに出せるだけの作品数は既にたまっているのだが、はたしてコップの外の世界に届くのだろうか?
また、つげ義春以降の表現を追求するのはあくまで正しい試みであるが、ここ30~40年の成果を省みてもコップの中にセクトが1、2個出来たようなものではないか。傑作は生まれているにしても、あまりにも世間の認知がなく、近年つげ忠男や菅野修の作品集が出ても世間はおろか、出版界・漫画界にもまったく無視されているような状況。このままでいくとあと50年くらい経っても同じような認知度でとどまっているであろう。よく知らないまま言うが、現代音楽や現代詩のようなポジションかもしれない。これはすべて世の中に責任があると考えて省みないつもりですが(笑)、さみしいはなしだ。なんといっても作品数が少ないのも一因だ。
と、ぼやいたところで…さて、ちょっと不思議でシュールな短編というヤツは既にいろいろ描いてみたので、少し手を変えてギャグベースで連作できるものを試みております。今後「電脳マヴォ」や「アックス」で展開されるでしょう。少しでもコップの外の世界のドアをノックできるといいのですが…。