忍者ブログ

漫画家まどの一哉ブログ

   
「黒い雨」
読書
「黒い雨」
井伏鱒二
 作

追い求めているわけではないが、原民喜・林京子・井上光晴など、少しだが原爆文学を読んでいるくせに、この最も有名な古典が未読であった。
主人公夫婦があずかっている姪っ子の縁談へ向けて、彼女が8月6日に被爆していないことを証明するため清書される原爆日誌。この日誌をここまで書いた、ここまで書いたと繋いでいく形式で小説は進行する。原爆投下以降の主人公たちの一日一日が日誌という形で描写される。
原爆という事実がただごとではないので、当時の広島の街と人々の様子を追っているだけで引き込まれてしまい興奮して読んでいたが、日誌であるせいか初めから終わりまで同じ調子で書かれていて変化には乏しい。この均質な手応えもリアリズムなのかもしれないが、さすがに半ばくらいまで読んできて飽きてしまった。なぜ作者はこの記録文学のような方法を選んだのだろうか。
選ぶというよりこういう冷静で絵画的な描写というところが作家の特質なのだろうか。
長編だからといってドラマが仕立ててある必要はまったくないのだ。

拍手[0回]

PR
  
カレンダー
02 2024/03 04
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 13 14 15 16
17 18 20 21 22
24 25 26 27 28 30
31
フリーエリア

「世の終りのためのお伽噺」
アックスストア
「洞窟ゲーム」
アックスストア 西遊
「西遊」
amazon ヨドバシ.com
アックス75号
アックスストア

祭り前

秘密諜報家
最新コメント
[08/13 筒井ヒロミ]
[02/24 おんちみどり]
[05/10 まどの]
[05/10 西野空男]
[01/19 斎藤潤一郎]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
madonokazuya
性別:
非公開
自己紹介:
漫画家
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
カウンター
カウンター
フリーエリア
Copyright ©  -- まどの一哉 「絵空事ノート」 --  All Rights Reserved

Design by CriCri / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]