漫画家まどの一哉ブログ
「ミゲル・ストリート」 V.S.ナイポール
「ミゲル・ストリート」
V.S.ナイポール 作
(岩波文庫・小沢自然・小野正嗣 訳)
1940年代カリブ海の国トリニダード・トバゴ。貧しいながらも仲間が集う小さな通りの人々を、大人になる前の少年の目を通して描いた短編集。
作者はノーベル賞作家とは言え、トリニダード・トバゴが舞台の小説などめったに読まない。それでもなんとなくカリブの暖かくのんびりした風を感じることが出来る。大人の男たちはたいして働くでもなく通りに集って噂話に花を咲かせ、子供たちも大人の仲間入り。世界中どこにでもある世界だ。
あまり役に立つことをしない男ばかり出てくる。売れない花火師、詩人、教養博士、資源ゴミ転売、年中車の下に潜り込んで機械をいじってはダメにしてしまう男がいちばん面白かった。市井の人々といってもややワイルドな連中だが、戦前の植民地時代はまだ世の中アバウトだったのかな?個人的には苦手な分野だが慣れると読める。
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